隠し事なんて。【梵天】 (ページ46)

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次の日。

鶴蝶が退院する時間に合わせて早めに仕事を切り上げ、鶴蝶の部屋に侵入する。

そして机の陰に隠れて入室を待つ。

およそ10分後。

扉が開いた瞬間に誰かも確認せずに飛び出すと、そこには見慣れた竜胆の顔が。

『なんであんたなのよ…』

「こっちこそ
　なんでお前こんなとこいるんだよ」

呆れ顔で言い放たれる。

『鶴蝶退院するって聞いたから
　部屋に入っといて驚かそうと思って』

「思考回路小学生かよ…」

『悪い？
　鶴蝶なら意外と驚くかなって思ったんだけど』

「まあ…確かにそう言えなくもないな」

竜胆はバレていないと思っているのだろうか。

他愛ない会話の中でそう思う。

『…ところでさ
　なんで竜胆ここに来たの？』

「え？
　それは…まあ…ね？」

『ね？じゃない
　私が心読めんの覚えてないかしら』

「あ」

私はこう読んだ。

竜胆も鶴蝶にだいぶ懐いていた。

昨日はみんなアジトにいたから、おそらくココに退院のことを聞いた。

そして私と同じことを考えて同じように待ち伏せをするためにここに来たのだ。

私が竜胆なんかと同じ思考をしていたことがいささか気に食わないが、まあいい。

そのことを竜胆に話せば、なんだよ、同じこと考えてんじゃんかよ。なんて不満そうな顔をしていた。

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今度こそ鶴蝶のものと思われる足音が聞こえ、2人で息を潜めて待つ。

「わっ」

「うおっ！
　…なんだ、竜胆か」

作戦通り。

まずは竜胆が先に飛び出し、少し話をする。

落ち着いたというところで今度は私が飛び出す。

竜胆で驚いて油断しているところへもう一回という、なんとも馬鹿らしい考えは竜胆の案だ。

それに乗っている私も馬鹿なのかもしれないが。

しかしやはりNo3。

「おいA
　いるのはわかってんぞ
　早く出てこい」

『「え？」』

「竜胆が居るならAも居そうだったからな」

『心読まれた
　屈辱』

「勝ったぜ」

私は鶴蝶には全く歯が立たないことが分かった。