隠し事なんて。【梵天】 (ページ26)

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＜三途side>

鳥野が喋り始める。

「俺は元々梵天にいたんだ
　でも理不尽な理由でリストラされた
　対抗なんてできるわけねえからその時は大人しくしてた
　親父を無理矢理隠居させて鳥野文具の社長になって
　社員も梵天に恨みのある奴らを昇格させて
　重役に梵天幹部の叔父を就任させて
　スパイまで雇って…」

そこまで一息に言った後、鳥野の言葉は途切れた。

Aが首を絞めたからだ。

『ねえお前
　そんな自分の都合でここまでやってたの？
　だとしたら大馬鹿だね
　生半可な理由で潰れる梵天じゃねえ』

「ぐっ…」

『でさ、
　２つ気になってんだけど
　それ聞いたら殺すね』

「なあA
　そろそろ首戻してやれよ
　それじゃ喋れなくね？」

『あ、確かに』

Aは鳥野の首から手を離す。

しばらく咳き込んでいた鳥野が落ち着くのを待つ。

「ごほっ…
　それで、何が聞きたいんだ」

『ん？ああ
　その梵天幹部の叔父って私の叔父なんだけどさ
　そいつに何してた？』

「…本当に姪が幹部だったのか…」

『質問に答えろ』

あー、だいぶイライラしてんな。

鳥野の脚に銃口を向けるAを見てそう思う。

最近寝てねえのか。

「…何してたって、具体的には？」

『さっきそいつを殺してきたんだが
　最後に“こんな生活はごめんだ”と言っていた
　まるで死にたがっているような台詞だ
　どういうことなんだ』

「…あいつの給料は0だったんだ
　途中まではちゃんと払っていた
　親父があいつを気に入ってたからな
　でも俺は気に入らなかった
　ことあるごとに“姪が梵天幹部だ”と自慢していた」

『本当にそれだけか？
　私に嘘をつこうなんて考えないほうがいいぞ』

今日はよく脅すな。

「本当だ！
　無給のあいつを他の重役が蔑み始めた
　梵天に姪がいるっていうのも疑われたんだ
　本当にそれだけだ」

『ふーん
　じゃ２つ目
　うちの鶴蝶狙ったのって誰？』

「俺だ
　自分で銃を持って襲った
　部下の隊を動かしてフェイクしたんだ」

『…本当？』

「ああ、本当だ」

『…そうみたいね
　貴重な情報をどうも』

「…」

『三途ー殺していいよー』

「お、おう…」

自分で殺さねえのか？

それだけの情報でいいのか？

様々な疑問が湧くが、とりあえず鳥野を撃ち殺す。

『ありがと』

にしても、今日のAは少し変だ。