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#4 忘却の鳳凰 ページ18

私はあの本を開いた。

何も書かれていない




はずだった。

「っ!!?」

私は驚きで頭が回らなかった。

そこにはしっかりと文字が書いてある。

確かに昨日までは何も書かれていなかった。


『この文を目にする者
忘却の底にあるは愛
紅の翼に抱かれたそれは
竦む心に炎を宿す
其方が忘却の鳳凰である』


そう書かれていた。

自分に言われているとしか思えなかった。
実際見ているのは私だ。

忘却の底にあるは愛。

私の記憶に関連しているのか?
忘れてしまったのは愛……と言いたいのだろうか。

他のページも見たが書かれていたのはそれだけだった。

何より気になったのは、其方が忘却の鳳凰である、という文だった。

忘れ去られた鳳凰………?
私が…………?

わけがわからなかった。

何が言いたいのだろうか。
なぜ急に文字が現れたのだろうか。

疑問はたくさんあった。

もう一度本をみる。

すると、そこにその文はなく代わりに新しい文があった。


『忘却の鳳凰
知ろうと思わねばならない
また知ることを恐れてはならない
それではまだ忘却の鳳凰でしかない
其方は忘却を恐れ忘却であろうとしている』


難しい文だと思った。
忘却を恐れて忘却であろうとしている。


しばらく考えていると、私はあることに気づいた。



今までの私は、本当に思い出そうとしていなかったのだ。

思い出したいと頭で思っていても、行動がそれを妨げていた。

天馬さんにたいしてもだ。

天馬さんが自分に誰を重ねているか知りたいと思いながら、恐れて聞かなかった。

記憶を取り戻したいと思いながら、有馬様に聞かなった。

外に出たいと思いながら、結界を恐れ出ようとしなかった。

私は忘れていることを恐れていながら、自ら忘れていることを望んでいたのだ。


「今なら……。」

今なら外に出られると思った。

「ルシファー、ミカエル。」

眠っていた2匹が目を覚まして寄ってくる。

「私はここから出る。」

『出るって……何があったの?』

ルシファーの声には驚きが混ざっていた。

「……知りたいと思ったの。全てを。」

私は扉の前に立った。

〃→←#3 追憶


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オムライス

今日のあの人

ろくろのためにとカレーを勉強する紅緒様


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天命龍(プロフ) - コメントありがとうございます!はい、ありがとうございますー!!作者、感激!受験頑張りまする☆ (2018年5月11日 23時) (レス) id: fc4de454cd (このIDを非表示/違反報告)
クリナ(プロフ) - 家紋かっけー。スゲー上手いッス。受験頑張ってください。 (2018年5月11日 22時) (レス) id: 190285f25c (このIDを非表示/違反報告)
天命龍(プロフ) - コメントありがとうございます!前作見ていてくださっていたのですね!これからも頑張ります(^-^)/ (2018年4月28日 23時) (レス) id: fc4de454cd (このIDを非表示/違反報告)
クリナ(プロフ) - 前の作品も見てました。これからも頑張ってください。 (2018年4月28日 17時) (レス) id: 190285f25c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天命龍 | 作成日時:2018年4月28日 0時

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