〃 ページ15
─翡翠の部屋─
「ねぇ、ルシファー。この本…。」
『どうしたの?』
「……だれから貰ったのかな…覚えてないの。」
『…そうね…いつか、思い出せるわ。』
「……たくさんの人から大切なものを奪ったからここにいるってわかってるのに、なぜそうなったのかがわからない。」
『翡翠…。』
「なにかあったはずなの。…大切なことが。」
本を開くが、何も書かれていない。
「いつか、わかるかな。全部。」
翡翠は、本を抱きしめながら眠りについた。
『…翡翠が何も覚えていないのに私たちだけ覚えてるなんて…。』
『教えてやりたくてもあの人から口止めされているからな。』
『今はまだその時じゃないのね。』
『そう、だな。』
次の日、翡翠は黒いうさぎのぬいぐるみを作っていた。
「この前、ルシファーを作ったから…次はミカエルね。」
ミカエルの頭を撫でると、気持ち良さそうに目を細めた。
刹那、ドアが開いて、陽気な声と共に人が入ってきた。
「やあ!元気かい?」
「有馬様…元気だよ。どうしたの?」
「そっかそっか。今日は聞きたいことがあってね。」
有馬様は椅子に座ると私を見つめた。
「記憶の方はどうだい?」
「……何も、思い出せない。」
「………覚えていることや、最近のことで何か気になることはない?」
1つだけ、あった。
「…天馬さんは、私に誰かを重ねて見ているみたい。……とても寂しそう。誰を……重ねているの?」
「それは………彼にしか分からないよ。」
「……私は、誰なの?」
有馬様は目を見開いたが目を閉じて息を吐き出した。
「君は君だよ、翡翠。」
「…そう。………私はここから出たい。今すぐにでも。」
「翡翠はここから出ることは出来ない。僕にしか解除出来ない結界がはってあることを忘れてはいけないよ。」
私は頷いた。
「有馬様は知っているんでしょう……?私の知らないことを。私の思い出せない記憶を。」
怒りを含むその言葉を有馬様は何も言わずに受け止めている。
「………知っているよ。」
有馬様はそれについてのことはそれ以上何も言わず、私の目を見て告げた。
「君は、必ず思い出す。君が欲するものも、君の大切な人のことも、全てをね。」
私にはただ有馬様を見つめ返すことしか出来なかった。
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ろくろのためにとカレーを勉強する紅緒様
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天命龍(プロフ) - コメントありがとうございます!はい、ありがとうございますー!!作者、感激!受験頑張りまする☆ (2018年5月11日 23時) (レス) id: fc4de454cd (このIDを非表示/違反報告)
クリナ(プロフ) - 家紋かっけー。スゲー上手いッス。受験頑張ってください。 (2018年5月11日 22時) (レス) id: 190285f25c (このIDを非表示/違反報告)
天命龍(プロフ) - コメントありがとうございます!前作見ていてくださっていたのですね!これからも頑張ります(^-^)/ (2018年4月28日 23時) (レス) id: fc4de454cd (このIDを非表示/違反報告)
クリナ(プロフ) - 前の作品も見てました。これからも頑張ってください。 (2018年4月28日 17時) (レス) id: 190285f25c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天命龍 | 作成日時:2018年4月28日 0時