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ある日、私がルシファーやミカエルをブラッシングしている時に、彼は突然訪れた。

初めて会った日から1週間は過ぎていた。

「よぉ。久しぶりだなぁ?んん?」

「久しぶり。…なかなか来てくれなかったね。有馬様の命令で、もう来れないのかと思った。」

「いろいろ忙しかった。」

「そっか。仕事があるもんね。」

天馬さんは小さく笑うと、窓の近くの椅子に座った。

「その式神、狼がモチーフか?」

「うん。」

「じゃあお前、狼娘な。」

私は驚いて、天馬さんを見る。

「なにそれ…!」

「お前目がキラキラしてるぞ?」

天馬さんは笑いながら教えてくれた。

「狼をモチーフにした式神を連れてるから、狼娘。お前のあだ名だ!」

「あだ名!…初めてつけてもらった。なんか、ちょっと嬉しい。」

小さい頃から人と関わる機会があまりなかった私にとって、あだ名は嬉しいものだった。

「嬉しい、なぁ?」

「うん。嬉しい。」

「ふーん。…お前、ずっとこの部屋にいるんだろ?んん?」

私は頷く。

「何でそんなことになったんだよ。」

天馬さんに聞かれたことは、あまり話したくないし、思い出したくもないことだった。

「…ちょっと、ね。小さい頃にいろいろあったの。」

「小さい頃?」

「…詳しくは話せないけど、人の大切なものを奪った。一人だけじゃなく、たくさんの人から。」

天馬さんと目があった。

「…俺だって…奪った。」

「え?」

「!…なんでもねぇよ。」

天馬さんは、口が滑った、と付け足して、それ以上は何も言わなかった。

「太陽の光をたくさん浴びたい。広い海をこの目で見たい。…どれも、窓の内側じゃなく、外側で。…ここから出たい。」

最後の言葉は、独り言のようになってしまった。でも、彼にはしっかりと聞こえていたようだ。

「…俺がいつか出してやるよ。…鳥籠(ここ)からな。」

天馬さんの、太陽の光に照らされた笑顔は、忘れていた何かを、少しだけ記憶の片隅から引き出してくれた。

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天命龍(プロフ) - コメントありがとうございます!はい、ありがとうございますー!!作者、感激!受験頑張りまする☆ (2018年5月11日 23時) (レス) id: fc4de454cd (このIDを非表示/違反報告)
クリナ(プロフ) - 家紋かっけー。スゲー上手いッス。受験頑張ってください。 (2018年5月11日 22時) (レス) id: 190285f25c (このIDを非表示/違反報告)
天命龍(プロフ) - コメントありがとうございます!前作見ていてくださっていたのですね!これからも頑張ります(^-^)/ (2018年4月28日 23時) (レス) id: fc4de454cd (このIDを非表示/違反報告)
クリナ(プロフ) - 前の作品も見てました。これからも頑張ってください。 (2018年4月28日 17時) (レス) id: 190285f25c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天命龍 | 作成日時:2018年4月28日 0時

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