拝啓、世界に抗う蒼色の君へ (ページ1)

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私は昔から

自分の意思を貫き通すことが苦手だった。

人の顔色を窺うばかりで、自分の意見なんて＿＿

『Aちゃんの個性ってさぁ、毒と液体を操るんだっけ？』

『うん！』

『かっこいいね〜！！しかも複数個性！憧れちゃう』

『ありがとう！』

『え〜そうか？』

『え』

『だってヴィランみたい』

『ちょっとー笑本人の前で言わないであげなよー笑笑』

『…』

『でもなんかその個性だとさ笑』

『将来人殺してそうじゃね笑笑』

いつからかなぁ。

自分を貫かなくなったのって。

『そっ、そうだよね。私の個性、ヒーローに向いてないよね』

『まぁもしAがヴィランになったら、オレが倒しに行ってやるよ』

『その時はよろしくね笑』

『あはは〜！もう、やめてよ〜そんな話！』

『…Aちゃん』

『いいの？よかったの？あの時。ねぇ…』

私は＿＿＿＿＿

パッと目が覚める

そしてそこには見慣れた天井。

ああ、またこの夢か。

私は目を擦りながらベットから降りる。

ヒタ、ヒタ、と足音を立てて冷たい廊下を歩く。

ふと最近思う。

私って、生きてるのかな。

肉体は生きてても、何故か生きている感覚が全くもってしない。

「おはよう。お母さん。お父さん。」

仏壇を拝んで挨拶をする。

両親は立派なヒーローだった。
そして激しい戦いの末、他界した。

意味もなくテレビを付ける。

『最近、ヴィラン連合と呼ばれる集団が＿＿』

ヴィラン連合…。

私はかっこいいと思う。ヴィラン。

私の感覚がおかしいのかもしれない。

でも自分の意思で、世界に抗っている人達は、強く自分を持って生きている人達(ヴィラン)は。

かっこいい…すごい…

私も＿＿＿＿＿＿＿

お母さん、お父さんごめんね。

理想通りに育たなくって。

「こちらが、例のお嬢ちゃん。」

「誰だテメェ…」

「AAです」

「カアイイです！」

「お目が高いね。この娘、君と同い年なんだ」

「仲良くしましょう！」

「はいっ！」

「勝手に話を進めてんじゃねぇよ…。個性は…？」