いざ教室へ！ ページ11
Aside
｢おい湖神、行くぞ｣
｢分かりました｣
その後相談室に戻ると、丁度相澤先生が迎えに来たところだった。
………今からA組に行くんだ。約1ヶ月出遅れた形だけど…仲良くなれるかな…。
緊張と不安を抱えて先生の後ろを歩く。
｢湖神。クラス連中には表向きは『入試の後に何故か個性が使えなくなった』ということにしておく。お前も合わせろよ｣
ヒーロー科入試で実技を受けずに入ったなんて、非難されて当然だろうから、その理由に納得した。けど。
………先生。もう緑谷くんに話しちゃいました…。
彼は良い人だから、多分話を合わせてくれるはず。
心の中で謝りつつ、頷いておいた。
｢ｳﾞｯ…もしかして先生、信用してませんね？｣
｢よく分かってるようだな？｣
｢はひ……｣
ごめんなさい、ごめんなさい！緑谷くんのあれは不可抗力ってことでお願いします！
そうこうしているうちにA組の教室に到着した。
ドアでっかいな…。ん？私が小さいのか？身長158はあるんだけど？
と、相澤先生が急にドアを開けて。
｢俺が呼んだら入ってこい｣
｢え、ちょ、待ってくだ｣
ガラガラピシャン！っと目の前でドアが閉められた。
ーーー先生、合理主義は程々にするべきです。
教室の中から相澤先生の声が聞こえるけど何を言っているかまでは分からない。
｢おい、入れ｣
突然ガラッとドアが開いたかと思えば先生が早くしろ、と促してくる。
ーーーだから急すぎなんですよ、心の準備が！
もたもたしていると先生の機嫌が急降下しそうなので慌てて教室に入った。
緊張、するなぁ。
真っ直ぐ教卓だけを見つめて、歩く。
周りからの視線が痛い。
｢湖神、自己紹介｣
｢あ、はいっ、湖神Aと言います。色々あって今まで別室登校してました。今日から普通に授業に出るので…よろしくお願いします！｣
ドキドキしながら頭をさげた。
心臓の音がうるさい。
みんなからの視線を変わらず浴びながら、様子を伺う。
すると………
｢…………A？｣
凄く小さな呟きほどの声で、でも確かに、名前を呼ばれた。
その声に聞き覚えはなかったけど、何故か心をざわめかせる。
ゆっくりと顔を上げる。
視界に飛び込んできたのは、少しだけ驚きに目を見開いた赤と白の髪をした男の子でーーー
｢しょう……と……？｣
あの日以来一度たりとも会うことのなかった焦凍が、そこにいた。
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作者名：てぃらみす | 作成日時：2018年7月23日 23時
