Closing ページ39
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「なぁA」
静寂に包まれた未明の頃、Aを家まで送る道中で横の彼女に話しかける。
「なんですか?志麻さん」
「お前、坂田のこと好きやろ」
「……え!?」
Aの顔が途端に真っ赤になり、あたふたし始める。
やっぱな。
「そうやと思ったわ。俺らの手前言い出せへんかっただけで、ほんまは告られた時もう坂田って決まってたんやろ?」
「………………どうして分かったんですか」
「そら、」
お前が好きなんやから、そんくらい分かるわ。
そう言おうと思ったけれど、Aを反応に困らせてしまうと気付いてやめた。
……どうせ、勝ち目はない。だったら、少しでも君を悩ませることがないように。
「俺、本気やないから」
「……え?」
「やからノリっつーか、合わせたんよ。みんなお前のこと好きやし、俺だけやったからな違うの」
「……じゃあ、志麻さんは」
「ああ」
僕は
君が笑うなら。
「お前のこと、恋愛的に好きなわけやないで。応援したるからはよくっつけ」
「……へ、変な嘘つかないでください!」
え、うそん。バレた?
「びっくりしたじゃないですか……志麻さんの俺に委ねろって、ちょっとドキッとしたんですよ私……」
はぁー、と息を吐く音と、自分の心臓のどデカい音とが二重になって聞こえる。
俺にドキッとした?やばどうしよ、嬉しいんやけど。ワンチャン俺でもいけ――……やないわアホ!Aを応援するんやろが!!
「そういうわけや。いくらでも協力するからくっつけ、はよ」
「先程もそれ言ってましたが、そんなに早く付き合ってほしいんですか……?」
俺の顔色を窺いつつなんとなく不安そうなA。そうやったっけ。
「違うけど……無意識で」
その時唐突に、告白した後から胸中にあった不快感の正体を悟った。
あー、そうか俺、どっかでムカついてんのか。この子を俺のにできねえから。
……ガキだな。
「送ってくださって、ありがとうございました」
「ええんやで。おやすみ」
「おやすみなさい」
家へと進んでいく背中を見送るうち、名残惜しさに駆られて「A」と呼び止めた。
「坂田関係で、なんかあったらいつでも言えよ」
手に入れられなくても、他の奴らよりは近くにいたいっていう邪な感情から出た言葉。
「ありがとうございます!」
――でも、この笑顔を守りたいっていうのも本当だから。
「相談相手」の座、貰ってくで。坂田。
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ノア(プロフ) - のんさん» ありがとうございます!!これからも頑張ります!^^* (2020年8月11日 14時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
のん - とっても面白かったです!こんな素敵な作品を読ませていただきありがとうございます!「ポーカーフェイク」の歌詞と物語の内容がぴったりと合っていて、すごいと思います!これからも作品作り、頑張ってください!(長文失礼しました) (2020年6月10日 22時) (レス) id: d1f95d9fc5 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - ひよりさん» コメントありがとうございます!初めてなんて光栄です……!曲をテーマにした小説で歌詞の使われ方に違和感ないと言っていただけるの一番嬉しいのでそれも本当に嬉しいです(;///;) ありがとうございます、是非他作品もこれからもよろしくお願いします! (2020年3月18日 22時) (レス) id: 97e24364b3 (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 占ツクで初めて感想書いてます!曲の歌詞が違和感なく使われていて、思わず「すごっ!かっこいい!」と1人で騒いでました。笑 占ツクで感想書きたくなるくらい良い作品に出会ったのは初めてです!その文才が羨ましい...。ほかの作品も読んできます!応援してます! (2020年3月14日 3時) (レス) id: d25668dc8d (このIDを非表示/違反報告)
ミルクショコラ - 私もよく本を読んで一人で笑ってしまいます。読んでなくても思い出し笑いをしてしまいます。。。笑 なので、極力マスクをするようにしてました笑 話、楽しみにしています! (2020年3月5日 13時) (レス) id: a2c6795623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノア | 作成日時:2019年5月1日 0時