show time ページ32
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(……これ、どういう誘いなんだろう……)
再び疑問が浮上してきて、Aは右手に持っている、今朝ポストに投函されていた手紙を見直した。
今夜23時30分にカジノに来い
遅れてもええけど、あんま遅れると終わってんかもな
待っとるでー!
来たらずっと、僕を見ててくださいね。
浦島坂田船
「……一番分からないのはセンラさんだけど……」
一人だけ系統が違う彼の文章を見ながらさらに首を捻るA。
これはセンラの書く順番が最後であったためにセンラが他のメンバーにも内緒で書いた口説き文句なのだが、Aにはあまり伝わっていなかった。
(まあ、行ってみれば分かるでしょう)
Aは手紙を折りたたんで制服のスカートのポケットに入れ、歩みを進めた。
そしてあの闇カジノの扉を押し開ける。
煌びやかなシャンデリアの下で、楕円形のテーブルを囲み、数人が
Aは静かに扉を閉めて目を凝らし、
(……え)
その“数人”が浦島坂田船の4人と平紗義治であることに驚愕した。
「レイズ。15枚追加」
正面奥に座るうらたが、金のチップをテーブル中央へ放ってベットする。
「うらたんぬるくねー?3ゲーム目なんやからもっと上げよーや。リレイズ、20枚追加」
「まーしぃやるう!俺はー、コールしよかな」
「あらそうですか?僕リリレイズしますよ。そうですね……平紗さんの手持ちを考慮して、18枚くらいにしましょうか」
Aは流れてくる会話を聞きながら、賭けることになる総額を暗算した。
元々いくらだったのかは知らないが、レイズで加算された分だけでも――530万。
1つのターンでここまで金額を上げるゲームなど経験したことがない。恐らく、義治もだろう。
彼の戦慄は、後ろ姿でもはっきりと分かった。
「平紗グループって案外上手くいってへんくて、万年資金不足なんやってなあ。金足ります?平気?」
「……っ馬鹿にするな!この程度……」
はっと義治が息を呑む。
この3ゲーム、彼は一度も勝てていなかった。「浦島坂田船の誰か一人にでも勝てたら勝ち」なのにもかかわらずだ。
「っ……」
彼に残された選択肢は、『オールイン』しかなかった。
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ノア(プロフ) - のんさん» ありがとうございます!!これからも頑張ります!^^* (2020年8月11日 14時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
のん - とっても面白かったです!こんな素敵な作品を読ませていただきありがとうございます!「ポーカーフェイク」の歌詞と物語の内容がぴったりと合っていて、すごいと思います!これからも作品作り、頑張ってください!(長文失礼しました) (2020年6月10日 22時) (レス) id: d1f95d9fc5 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - ひよりさん» コメントありがとうございます!初めてなんて光栄です……!曲をテーマにした小説で歌詞の使われ方に違和感ないと言っていただけるの一番嬉しいのでそれも本当に嬉しいです(;///;) ありがとうございます、是非他作品もこれからもよろしくお願いします! (2020年3月18日 22時) (レス) id: 97e24364b3 (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 占ツクで初めて感想書いてます!曲の歌詞が違和感なく使われていて、思わず「すごっ!かっこいい!」と1人で騒いでました。笑 占ツクで感想書きたくなるくらい良い作品に出会ったのは初めてです!その文才が羨ましい...。ほかの作品も読んできます!応援してます! (2020年3月14日 3時) (レス) id: d25668dc8d (このIDを非表示/違反報告)
ミルクショコラ - 私もよく本を読んで一人で笑ってしまいます。読んでなくても思い出し笑いをしてしまいます。。。笑 なので、極力マスクをするようにしてました笑 話、楽しみにしています! (2020年3月5日 13時) (レス) id: a2c6795623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノア | 作成日時:2019年5月1日 0時