3rdラウンド−志麻 ページ19
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冷たい笑みを浮かべる少女は、闇に溶ける漆黒の拳銃を俺の心臓に向けて構えていた。
「……物騒なもん持っとんなあ。離れるから片付けて、な?」
両手を顔の横に挙げ、にこやかな笑顔で少女から離れると、彼女は瞳を閉じて拳銃を太もものホルスターにしまった。
スカートで隠されとってホルスター見えんかった……こわこの子。銃持っとる女子高生のご令嬢なんか初めてやで?
ほんまさかたん、なんでこんな子に惹かれるんかわからんわぁー……。
「もう一度聞きますが、目的は?」
「ああ、そうやったな。――Aちゃん」
わざと「ちゃん付け」で名前を呼んで、にこっと笑う。
坂田が君を好きでも、俺は君のことは嫌いや。
同じ轍は踏まねえ。
「ポーカーしよ?」
「……今夜しましょうと申し上げたと思いましたが」
「ここでやったって同じやろ?戦えん理由でもあるんか?」
「いえ、それはありませんが……」
若干食い気味に否定した彼女。
やはり
隠されるほど暴きたくなるのは、俺の悪い癖なのだろうか。
「ならやろうや。そこ空いとるしちょうど」
「……わかりました」
少女が頷いたのを見て、心の中で嗤う。
負かしたる。最初っから全部シくんで、うらたんさかたんの分まで俺が勝つわ。
□■□
空いたテーブルに二人で座る。
ディーラーの男が手際よくカードを切り、俺と少女に2枚ずつ配った。
場に
「Aちゃんって恋人おるん?」
「いません」
「そーか」
俺は生返事をして手札を確認した。
おらんよなぁ。この子が誰か一人を特別に思っとるの想像できへんもん。どんな男を好きになるんやろうか。
思索にふけり、少女を見つめる――
カードの柄は全く同じ。大きさも、長く使い込まれた雰囲気でさえも完璧に演出している。気付かれるわけがない。
俺は密かに口角を上げた。
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ノア(プロフ) - のんさん» ありがとうございます!!これからも頑張ります!^^* (2020年8月11日 14時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
のん - とっても面白かったです!こんな素敵な作品を読ませていただきありがとうございます!「ポーカーフェイク」の歌詞と物語の内容がぴったりと合っていて、すごいと思います!これからも作品作り、頑張ってください!(長文失礼しました) (2020年6月10日 22時) (レス) id: d1f95d9fc5 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - ひよりさん» コメントありがとうございます!初めてなんて光栄です……!曲をテーマにした小説で歌詞の使われ方に違和感ないと言っていただけるの一番嬉しいのでそれも本当に嬉しいです(;///;) ありがとうございます、是非他作品もこれからもよろしくお願いします! (2020年3月18日 22時) (レス) id: 97e24364b3 (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 占ツクで初めて感想書いてます!曲の歌詞が違和感なく使われていて、思わず「すごっ!かっこいい!」と1人で騒いでました。笑 占ツクで感想書きたくなるくらい良い作品に出会ったのは初めてです!その文才が羨ましい...。ほかの作品も読んできます!応援してます! (2020年3月14日 3時) (レス) id: d25668dc8d (このIDを非表示/違反報告)
ミルクショコラ - 私もよく本を読んで一人で笑ってしまいます。読んでなくても思い出し笑いをしてしまいます。。。笑 なので、極力マスクをするようにしてました笑 話、楽しみにしています! (2020年3月5日 13時) (レス) id: a2c6795623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノア | 作成日時:2019年5月1日 0時