Interlude−3 ページ18
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とあるバーの、隠された地下通路。
そこを下って突き当たりの扉を開ければ、あの闇カジノに随分似た景色が広がる。
へえ……結構栄えとんなぁ。
ギャンブラーの血が騒いであちこちに興味を引かれるが、今回の目的はそれとは別だ。店内を見回し、あの子を捜す。
男だらけの場内に一人、明らかに浮いている後ろ姿。
――見つけた。
ちょうどゲームが終わったらしく、テーブルを離れて伏し目がちでこちらの方向に歩いてくる少女にすれ違いざまに耳打ちする。
「楽しそうやなあ。混ぜてーや」
少女がバッと振り返ってきた。
常にたたえていた穏やかな微笑みは崩れ、驚愕が浮かんでいる。
「っ……どうして、ここに」
俺はふっと嘲笑を零す。
「調べたのがあんな情報だけなわけねえだろ?君の情報は全部筒抜けやと思ってええで。あそこで数文しか読み上げんかったのはうらたさんの配慮や」
他にも色々。――本当に色々と、調べたのだ。
うらたさんと坂田が。
どう出てくるか、少し楽しみな気持ちで少女を眺める。
――彼女の表情が不意に冷静さを取り戻して、
「こちらに」
俺の手を握り、人気のない方へ歩き出した。
……意外とこういうことする子なんやな。行動力があるというか、自分から男に触れるっつーある種の無防備というか。
握られた手を見ながらそんなことを考えているうちに、少女が足を止めた。
他の客からは死角となるような、暗い隅っこで。
「……目的は何ですか?」
落ち着いた声音で問うてくる少女から警戒が漂う。
俺はにっこりと笑って、少女へ一歩近付いた。
「『情報』としての君はよぉわかったけど、他のことが知りたくてな。例えば」
艶やかな長い黒髪に触れ、彼女の頬から肌をゆっくりと伝い下りて鎖骨を撫でる。
「どこをどうされるのが好きなんか……とかな」
耳元で妖艶に囁く。そっと顔を離して少女の反応を窺えば。
「……っ」
彼女は頬を赤く染め上げていて、しかし悔しそうな目で俺を睨んでいた。
ほぉ……こんな顔もするんか。
――なんか、虐めたくなるな。
「何、足りんかった?欲しいならここで
目を細めて微笑みながら、するりと彼女の背中に手を滑り込ませれば、驚いたように肩が微かに跳ねる。
少し、本当に少しだけ、“可愛い”と思った時、金属の擦れる音がして胸元に服の上から硬い何かが押し当てられた。
「冗談が過ぎますよ。志麻さん?」
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ノア(プロフ) - のんさん» ありがとうございます!!これからも頑張ります!^^* (2020年8月11日 14時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
のん - とっても面白かったです!こんな素敵な作品を読ませていただきありがとうございます!「ポーカーフェイク」の歌詞と物語の内容がぴったりと合っていて、すごいと思います!これからも作品作り、頑張ってください!(長文失礼しました) (2020年6月10日 22時) (レス) id: d1f95d9fc5 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - ひよりさん» コメントありがとうございます!初めてなんて光栄です……!曲をテーマにした小説で歌詞の使われ方に違和感ないと言っていただけるの一番嬉しいのでそれも本当に嬉しいです(;///;) ありがとうございます、是非他作品もこれからもよろしくお願いします! (2020年3月18日 22時) (レス) id: 97e24364b3 (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 占ツクで初めて感想書いてます!曲の歌詞が違和感なく使われていて、思わず「すごっ!かっこいい!」と1人で騒いでました。笑 占ツクで感想書きたくなるくらい良い作品に出会ったのは初めてです!その文才が羨ましい...。ほかの作品も読んできます!応援してます! (2020年3月14日 3時) (レス) id: d25668dc8d (このIDを非表示/違反報告)
ミルクショコラ - 私もよく本を読んで一人で笑ってしまいます。読んでなくても思い出し笑いをしてしまいます。。。笑 なので、極力マスクをするようにしてました笑 話、楽しみにしています! (2020年3月5日 13時) (レス) id: a2c6795623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノア | 作成日時:2019年5月1日 0時