2ndラウンド−坂田 ページ15
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ディーラーは引き続きセンラがやることになった。
SBのAが2枚、BBの俺が4枚のチップを出す。
俺の手札は――
【ダイヤの9】と【ハートのK】。
……なぁんか
「コール」
「僕もコールで」
「はいはい」
センラが軽い感じで返事をしてチップをポットへ移動させた。
共通カードとして開かれたのは、【クラブの10】【ハートの5】【ダイヤの5】。
《ワンペア》ができた。だが、これはAも同じだ。もしAの手札が何らかのペアならここで勝負すれば負ける。
勝負を仕掛けられないよう、俺は余裕綽々たる態度を貫いた。
「チェック」
よっしゃ!
「僕もチェックー」
「はーい」
センラくんがチップをポットに移す。
と、少し離れた後ろから対戦を見守るまーしぃが呟いた。
「なんやえっらいゆっるいなあ。大丈夫なん?坂田」
「外野は“しー”よ志麻くん。あと、大丈夫に決まっとるやろ?」
俺は振り返ってニカッと笑う。
負けられない。うらたさんのこともあるけど、何よりAと交わした「賭け」がある。
ここで勝って、言うことを一つ聞いてもらう……――
ラインを交換してもらうんや!!
そんで仲良くなって、その
「……たん?……た?坂田ー?」
目の前にセンラの顔がどアップで映し出された。
「うええ!?な、なに!?」
「なにって、早うチップ出してや。さかたんが4枚出してくれんと
「あ、あそっか!すまん、考え事しとった。Aもごめんな……」
チップを出しながら、ハッと気付く。
しまったー!!今までAって心の中だけで呼んどったのに現実でも呼んでしまったあああ!!
な、
ドキドキしつつチラッとAを見る。
「…………」
Aはポーカーフェイスのまま沈黙していた。
……あれ、スルー?
――てことはAって呼んでええの!?
「A!」
「……なんですか?」
「A!!」
「……用もなく呼ぶのはやめてください」
なんとなく恥ずかしそうに、Aが視線を落とした。
声色にも棘があって、どちらも初めてのことだった。
少しだけ、君の仮面がずれた気がする。――本当の君を引き出せた気がする。
もっと見たい。俺が勝ったら、見せてくれるんかな。
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ノア(プロフ) - のんさん» ありがとうございます!!これからも頑張ります!^^* (2020年8月11日 14時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
のん - とっても面白かったです!こんな素敵な作品を読ませていただきありがとうございます!「ポーカーフェイク」の歌詞と物語の内容がぴったりと合っていて、すごいと思います!これからも作品作り、頑張ってください!(長文失礼しました) (2020年6月10日 22時) (レス) id: d1f95d9fc5 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - ひよりさん» コメントありがとうございます!初めてなんて光栄です……!曲をテーマにした小説で歌詞の使われ方に違和感ないと言っていただけるの一番嬉しいのでそれも本当に嬉しいです(;///;) ありがとうございます、是非他作品もこれからもよろしくお願いします! (2020年3月18日 22時) (レス) id: 97e24364b3 (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 占ツクで初めて感想書いてます!曲の歌詞が違和感なく使われていて、思わず「すごっ!かっこいい!」と1人で騒いでました。笑 占ツクで感想書きたくなるくらい良い作品に出会ったのは初めてです!その文才が羨ましい...。ほかの作品も読んできます!応援してます! (2020年3月14日 3時) (レス) id: d25668dc8d (このIDを非表示/違反報告)
ミルクショコラ - 私もよく本を読んで一人で笑ってしまいます。読んでなくても思い出し笑いをしてしまいます。。。笑 なので、極力マスクをするようにしてました笑 話、楽しみにしています! (2020年3月5日 13時) (レス) id: a2c6795623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノア | 作成日時:2019年5月1日 0時