１st day ページ30
*
「…？ここ、どこだ、、？」
目を開けた時には、もうとっくにいつもの景色の中にはいなかった。
暗闇が広がるこの空間は、きっと＿＿＿＿
“下界” “現世” “この世”
呼び方はたくさんあるけれど、俺が元々生きていた場所なんだろう。
「…ウソだろ。透けて、ない…？」
ふと見えた自分の腕や足首に違和感を覚えて
目の前に持ってきてはぶんぶん振ったり、回してみたり。
待って、ほんとに？
なにか…あ、あのコンビニっぽいとこの蛍光灯。
かろうじて光るそこに、自分の手のひらをかざした。
指の間から漏れた、白い光。
これってつまり、そういうこと、…？
一つ一つ確認してみれば、俺は木の葉にも触れないし、歩いたって足音すら立たない。
暑いはずの夏の空気すら、肌に感じられなかった。
ただ、普通に姿は消せるっぽいし、簡単に浮いたりもできる。
この辺はいつもと変わらずコントロールできんのね。
…結局はぜんぜん霊ってことだ。
ちょっとだけ、忘れかけてた感触思い出せるか期待したんだけど。
なんかブルーな気持ちになった瞬間、側にあったドアが開く音がした。
やべ、
焦って姿を消して、裏側に回る。
ふー、危なかった。
無意識にビビった気持ちを落ち着かせようと、短く息を吐いた。
心臓がばくばくしないのも当たり前。
だから一瞬で心は凪いだはず、だった
『…ふう、』
収まったはずの、波が立った
何故か引き寄せられるように数歩踏み出して
こっそり眺めた、そこ。
.
…ぁ、
＿＿＿＿＿＿＿見つけた、
駐車ブロックに座るあの子はきっと
俺が、ずっと会いたかった子 。
もう何年も見てなかったけど、一発で分かったよ
だってあいつ、俺にそっくりじゃん。顔。
…今日行ったら色々、バレちゃうかな
いや、まあなんならそれでもいいけど。
でも1秒でも長くいたいから
なるべく怪しまれるような存在になることだけは避けたい。
あーあー、死んだ魚みたいな目しやがって。
おまけにタバコなんか咥えちゃって。
俺の人生掛けて教えたかったこと
この期間で、伝えられっかな
｢ ねえ、タバコおいしい？ ｣
振り向いたお前の人生が、光り輝くものになりますように
今更だけど、
これは何もしてやれなかった俺からの
たった4日間の、贈り物。
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スイ.(プロフ) - リリーさん» こちらこそ読んでくださり、そしてコメントまでしていただきありがとうございます☺️そう言っていただけてとっても嬉しいです…！これからも楽しみをお届けできますように🌟 (8月18日 20時) (
レス) id: e6a739559e (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 本気で涙が溢れ出した作品でした。素敵な作品をありがとうございます😭 (8月16日 20時) (レス) @page27 id: 96d2fca65a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スイ. | 作成日時：2023年8月12日 23時
