０day（*spin-off） ページ28
*
Waku side
「…あーーー、つまんねえ！」
目の前にあるのは、
もうすっかり見慣れてしまった 2つのモニター。
片方に映るのは、墓から見た180°の景色。
もう片方は、仏壇から見た 和室の景色。
…どっちも、俺の。
大抵ここに映るのは、俺の奥さん。
毎朝小さく盛ったご飯をあげに来てくれる時と
何か他にお供え物をあげに来てくれる時。
それ以外は、何か悩み事があるとよく仏壇の前に座って
もうあっちの世界には “存在していない” はずの俺に向かって、よくいろんな話をしていく。
墓は毎日誰か来るわけじゃない。
命日とか、彼岸だとか、そういう特別な時だけ。
だから一日このモニターを眺めてても、朝以外は誰の顔も見れないようなもん。
.
ずっと、ここに映ってくれるのを 待ってるやつがいた。
最後に見たのは、もう10年くらい前。
奥さんに手を引かれて、なにも知らないようなキョトン顔でいつもここに来ていたあの子は
俺の、たった1人の愛娘。
もう会えなくなってから、18年。
つまり、当時2歳だったあの子は
今年で20歳になる。
…お祝い、してやりたかったな。
でっかいケーキ買って、数字のロウソク刺して
あいつが帰ってきた瞬間に、玄関でクラッカー鳴らすの。
いくら頭の中に思い浮かべたところで
もう叶いっこない、けど。
「はーあ、」
周りにぷかぷか浮かんでいた雲を引っ掴んで、ちょっとちぎった。
受け取る相手もいないのに、野球ボールくらいの大きさに丸めてみる。
手に収まるサイズになったのを確認して
虚しさと悔しさをかき消すように、適当な方向に向かって 思いっきりぶん投げた。
『イッッッッッッッタ！！！！！！！！！』
「…え？」
誰かに当たった？マジでごめん。
自分がいる場所よりも下から聞こえてきた叫び声に、心の中でとりあえず手を合わせてみる。
『ちょっとM-1126！！！！！！！ボク神様なんだけど！！たんこぶ出来たんだけど？！？！？！』
「え、カミサマ？ほんとに？
まあわざとじゃないからそんな怒んないでよ。許して。」
悪いけど、今そのテンションについていけるほど、俺元気ない。
肘を着いて寝そべれば、ちょっと！！！とかなんとか言って
目の前に飛んできた。
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スイ.(プロフ) - リリーさん» こちらこそ読んでくださり、そしてコメントまでしていただきありがとうございます☺️そう言っていただけてとっても嬉しいです…！これからも楽しみをお届けできますように🌟 (8月18日 20時) (
レス) id: e6a739559e (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 本気で涙が溢れ出した作品でした。素敵な作品をありがとうございます😭 (8月16日 20時) (レス) @page27 id: 96d2fca65a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スイ. | 作成日時：2023年8月12日 23時
