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湧「さんざん命は大切だ大切だって言っても、俺らがもし死なない生命体だったら
誰も “ 命は大切だ ” なんて言わねえの。
むしろもういいやって死にたがるよみんな。すぐ人生投げ出そうとする。今のお前みたいにね。」
“今のお前みたいに”
それは本当なはずなのに、どこか納得できなかった
湧「命が大切だって、いつか死ぬって知ってる俺たちは幸せなわけ。それだけで生きてる時間の価値ぜんっぜんちげえんだから。
この時点で何倍もラッキーなんだよ。
もし死ぬなら一回全力で生きてからにしろ、
まだ力有り余ってる奴が死にたいとか言ってんじゃねえよ。」
言い方は荒いくせに、鼓膜に響く声は優しくて。そして何故か切なくて。
わくの言葉がぐさぐさ刺さって、核心を突かれたようで
わけもわからずにどんどん涙が溢れてくる。
自分だって分かっていた。
本当は、“死にたい”んじゃない。
“どう生きたらいいのか“が分からなくて、そんな自分が嫌で
手っ取り早く投げ出したかっただけだ。
きっとこれだけ話してくれるわくは
本当に大切なものを、ちゃんと知っているんだろう。
ただの変なやつだと思ってたのに。
ちゃんと自分よりも大人じゃん、なんなの
「っ、…っ、」
湧 「…ごめんって、俺も言いすぎた。
死んだら全部終わりなんだから。それだけは分かって。」
「っ、ふつうは、こういう時…っ、頭撫でてくれたりするもんじゃないの、っ、」
湧 「…ふつーは、な。」
ごめんな、なんて
そんな苦しそうな顔で笑わないでよ。
伸ばしかけた手、引っ込めないでよ。
ちょっと撫でて笑ってくれたら、それだけでよかったのに。
わくの手のひらは、冷たいのかな
あったかいのかな
柔らかくて 優しいのかな、
お仕事を頑張っている 固い努力の塊なのかな。
触れてもらえない寂しさに
また、ぶわっと 涙が滲んだ。
湧「……また明日な。
ここで待ってっから、絶対来いよ。」
そう言って、駐車場の方へ歩いて消えていったわくがさっきまでいた場所。
「なんで置いてくのよ…っ、」
袋に入ったままの桃が、
代わりにコロンと そこに座っていた。
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スイ.(プロフ) - リリーさん» こちらこそ読んでくださり、そしてコメントまでしていただきありがとうございます☺️そう言っていただけてとっても嬉しいです…！これからも楽しみをお届けできますように🌟 (8月18日 20時) (
レス) id: e6a739559e (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 本気で涙が溢れ出した作品でした。素敵な作品をありがとうございます😭 (8月16日 20時) (レス) @page27 id: 96d2fca65a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スイ. | 作成日時：2023年8月12日 23時
