３days left ページ2
*
「Aさん、そろそろ休憩どうぞ？」
「うん、ありがと」
「またタバコっすかー？」
「いいでしょ別に休憩の時くらい。」
「1本以上吸ったらだめっすよー」
「はいはーい。」
「もー絶対聞いてないじゃん。」
レジの前、横並びしていた後輩が
お客さんが減ってきてぼーっと突っ立つ私に言う。
最近金髪のメッシュを入れたらしい茶髪の混じった前髪を
頭を振って直したと思ったら、呆れたように笑うから
もうどっちが年上なんだか、って。
「1本っすからね！！！」
「分ーかったって。うるさいなあ」
「最後の言葉よけいっすよ！」
ほんと、うるさいなあ。
年下で、しかもただのバイト仲間のくせによく言うよ。
タバコの一つや二つくらい自由に吸わせてくれっての。
「…ふう、」
ムシムシと暑い日中よりかは少しだけ涼しいけど、蝉たちの必死な鳴き声のせいで体感温度なんてどんどん上がっていく。
クーラーの効いた店内を出た途端、肌にまとわりついた空気と汗に
バイトの制服の袖部分を肩ごと少し捲って、店の脇にある駐車ブロックに腰掛けた。
指と指の間に挟めた数センチの愉楽の先には、ほんのり色付いた赤い炎。
ゆらゆらと揺れながら昇っていく煙を見て、
接客をしながら肩に入ってしまっていた力が、ふわりと抜けていくのを感じた。
.
夏の真ん中。
何もいつもと変わらない今日の日づけは
8がつ12にち。
日付を超えれば、世間は��お盆��期間になる。
少し前に、いつもより多く仕入れられた線香やらライターやらを品出ししたのを思い出しながら
ぼーっと
ただ、ぼーっと。
細く立ち昇る白い煙に
今朝家を出た時に向かいのおばあちゃんが焚いていた迎え火みたい。なんて思ってみては
過ぎていく時間に、身を任せていた
.
｢ ねえ、タバコおいしい？ ｣
蝉が 鳴くのをやめた。
そのシン、とした空気の中に
心を沈ませたのも 束の間。
耳に飛び込んで来たのは
あまずっぱい キャンディーみたいな、
柔らかい、おひさまのまわりの ひかり みたいな。
例えるならきっと、
そんな感じの声…だった。
.
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スイ.(プロフ) - リリーさん» こちらこそ読んでくださり、そしてコメントまでしていただきありがとうございます☺️そう言っていただけてとっても嬉しいです…！これからも楽しみをお届けできますように🌟 (8月18日 20時) (
レス) id: e6a739559e (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 本気で涙が溢れ出した作品でした。素敵な作品をありがとうございます😭 (8月16日 20時) (レス) @page27 id: 96d2fca65a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スイ. | 作成日時：2023年8月12日 23時
