69: 産声 ページ20
ーー ？ ーー
この世界で産声をあげた瞬間、最初に探したのは彼女の姿だった。
私が、愛した、美しいあの子。
呆れたように私を見て笑う、少女。
困らせると、可愛い表情を見せてくれる、私の最愛の友。
私が再び生を得た理由はきっと、あの、優しいあの子と会う為だと信じ続け、今日に至る
たが、簡単に見つかりはしなかった
いや、もしかすると、この世界には私だけが産み落とされていて、あの子も、織田作も、安吾も存在しないだけではないか？
そう考えるたびに、何度も絶望と喪失感を味わう
ねぇ、君は何処にいるんだい？
私は、君をずっと探し続けているのに。
君は一向に見つからない。
では、この世界で、君がいない、この酸化する世界で私が生きている意味は？
分からない、
分からなくなってしまった、
側には死ぬことを嗜め、道を照らす友も…私の馬鹿らしい話でさえも真剣に受け止める友も…優しい声で私の名を呼んでくれる友もいないのだから
ならば、
いっそ、会えぬのならば、
��あぁ、そうだ、死んでしまおう��
1人は寂しい、1人は、孤独だ、
だから、だから、
？「やぁ、美しいお嬢さん。どうせ死ぬ予定なら、私と心中でも如何かな？」
橋上から川下を覗き込む女に声をかける
これで、15人目。
以前、声をかけた14人の女からは不審がられ、逃げられてしまった
加えて、ヒーローの妨害にもあった
故に、今回こそは上手くいく事を願う
「え、」
少しでいい。私の勝手に付き合ってくれやしまいか
その願いを心に秘めて
「私と、心中…？でも、私、1人で」
？「美しい人が、この世を1人で去る事などあってはならない！ならば、私と共にいかがかな？」
そう言いつつも、私は見知らぬ女を道連れにする趣味を��今��は持ち合わせてはいない
というのも、私が共に死を願う相手はあの子1人で十分だと考えているからで…。
��前��は、あまりの孤独に美しい女と死ぬ事は別段悪い事じゃあないと言っていたが、まぁ不思議な事に一度、死を味わえば人の思考は変わるらしい
…いや、これは嘘だな。
実は��前��からあの子との死を夢見てきた
けれど、あの子との対面も、あの子との関係の修復も二度と叶う事はなかった
だから、妥協で他の女を…。
はぁ、そうこうしてる内に本当に事故に巻き込まれて死んでしまうとは思いもしなかったが…
私はなんて愚かなのだろう
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ごまだれ - 一気読みしたけどめちゃめちゃ面白かった！この小説ほんと好きです！ (8月20日 15時) (
レス) @page33 id: d280296ddc (このIDを非表示/違反報告)
ゆち - 更新しないんですか？面白いので続きみたいです (2021年9月18日 23時) (レス) id: 965039a2b8 (このIDを非表示/違反報告)
おはぎ - 続きが気になります…！！！ (2020年11月20日 13時) (レス) id: 773f6d4603 (このIDを非表示/違反報告)
暁月 - わあああああ！！！！更新ありがとうございます…！！じっくり読ませていただきますね…！ (2020年4月28日 21時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
ピリオド - あっ、好き……です。更新大変だと思いますがお身体に気をつけて下さいね！ (2020年1月12日 8時) (レス) id: 704c3ea7dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沖縄県産マンゴー
| 作成日時：2018年6月8日 5時
