58: だからあの時 ページ9
ーーーマイクサイド ーーー
1人の女として成長した、画面のあの子の顔はまた別人で、まるで、あの少女とは別人の筈の福沢Aそのものだった
ああ、美少女だ
あの美少女が、大人になった
画面越しのあの女は、福沢Aとは違う筈であるのに、なぜか、直感的にそう感じてしまった
A『安吾聞いてる？織田作と太宰がね』
安吾『Aさん。聞いてますから、体を揺すらないで下さい』
そして、直感が確信に変わった
友人である坂口安吾と名前も声も姿さえもが、瓜二つの男が映り出したその瞬間に、この女は福沢Aと別人ではなく、福沢A、そのものなのではないかと
だが、もし…世の子供らより酷く大人びたあの美少女が画面越しの彼女と同一人物だとして、
いや、同一人物だとしたら、��福沢A��は何者になる？
そう考えると、坂口安吾という友もそうである
マイク「…これは、本当なのかよ？安吾ちゃん」
友人の立場として、謎の夢にて、あったかも分からない現実を見せられ、本当かも分からない事を見せられた俺は酷く、戸惑ってしまった
今の世界風景とかけ離れた、どこかレトロな世界線にいる安吾ちゃん達の姿を見て、俺は首をガクリと傾けた
マイク「…いや、うん。夢だ。夢に違いねぇや、きっと。そうだ」
きっと、そうだ
安吾ちゃんもAちゃんも、まだ未成年で子供で、
俺が見てきた彼奴らの方が、
そう考えた直後、画面はまた反転し、突如訪れた景色に俺は固まった
ああ。これは、
安吾『…Aさん、』
A『…太宰にも会ったから、聞いたよ…。だから何も言わなくてもいいよ、安吾。お願いだから…っ』
安吾『僕は、本当は、知っていたンです。織田作さんが、』
A『…安吾っ！』
悲痛の声をあげ、背後に立つ彼を振り返った彼女の表情は酷く、酷く、ボロボロだった
その表情が更に酷く、悲しく歪む
それはきっと、坂口安吾のその表情を見てしまったから
安吾『僕が殺した』
後悔と、
安吾『全て分かっていたのに、』
絶望と、
安吾『…あぁ、Aさん、お願いです。僕を、どうか恨んで、憎んで、』
虚無感の中で、彼は望んだ
安吾『��呪い続けて��』
ポタリ、と溢れた涙と共に彼は床に崩れ、彼女は酷く傷ついた顔で俯いた
俺は、沈黙が訪れた暗い画面の外で小さく呟く
マイク「だからあの時…」
福沢Aと対面した時、
安吾ちゃんは泣きそうな顔をしたのか
そして夢は崩れ去り、眩いほどの光に俺は包まれた
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ごまだれ - 一気読みしたけどめちゃめちゃ面白かった！この小説ほんと好きです！ (8月20日 15時) (
レス) @page33 id: d280296ddc (このIDを非表示/違反報告)
ゆち - 更新しないんですか？面白いので続きみたいです (2021年9月18日 23時) (レス) id: 965039a2b8 (このIDを非表示/違反報告)
おはぎ - 続きが気になります…！！！ (2020年11月20日 13時) (レス) id: 773f6d4603 (このIDを非表示/違反報告)
暁月 - わあああああ！！！！更新ありがとうございます…！！じっくり読ませていただきますね…！ (2020年4月28日 21時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
ピリオド - あっ、好き……です。更新大変だと思いますがお身体に気をつけて下さいね！ (2020年1月12日 8時) (レス) id: 704c3ea7dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沖縄県産マンゴー
| 作成日時：2018年6月8日 5時
