66: 遅い ページ17
乱歩が大きく、息を吸う
困ったような、
悲しそうな、
そんな顔で彼はそっと呟いた
乱歩「…死んでからではもう遅いンだよ」
A「…っ！」
��A。私の、私だけの最後の友よ��
��どうか、君が幸せであらん事を��
太宰が、死ぬ直前に書き記したその言葉が頭を駆け巡った
どうして、
どうして、
どうして…っ
何故、もっと前に言ってくれなかったの…っ
私をまだ友だと言ってくれるならば、私は君ときっとやり直せた筈なのに
ああ、また、友が死んでしまった
ああ、また、友の想いに気づけなかった
ああ、どうして、
どうして私は、
いつも大切な事から目を逸らしてしまうンだろう
そう叫んで泣いたあの日…
太宰治と云う男が、知らぬ女に巻き込まれ、あっけなく死んだあの日…
私は、確かに死ぬほどの後悔をしたのだ
ジワリと目に膜が浮かぶ
酷い
酷い
私はなんて、
酷いやつなの
ジワリ、ジワリ、視界が歪む
乱歩「A。改めて聞くよ」
君は、どうしたい？？
A「わたし、私は…っ！！」
太宰に、
太宰治に会いたい…っ
でも、こんな私が、こんな酷い私が、太宰にどんな顔で会えばいいの…っ
ポロポロと涙が出る
痛いほどの後悔は、もうしたくないと私がそう望んだ筈なのに
友に会う事に怖気ずくなど…なんと愚かで情けない事か
乱歩は、ゆっくり私の目線に合わせて膝を下ろした
乱歩「僕が背中を押すよ。今日が駄目なら明日でいい。明日が駄目なら明後日でいい」
君の心の思うままに僕は君を支えよう
そうにっこりと笑った彼は、私を抱いた
そして、人混みの中を駆け出した
マイク「え、おい！？」
相澤「な、」
突然走り出した乱歩に、近くで待機していた相澤とマイクは目を点にする
食堂にいた組の皆も騒ついた
乱歩「この子の為に少し出る！福沢さんには、そう伝えてくれ！」
彼らを振り向く事なく乱歩は叫んだ
A「ら、乱歩？」
乱歩「A。まずは…��見てから��考えな」
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ごまだれ - 一気読みしたけどめちゃめちゃ面白かった！この小説ほんと好きです！ (8月20日 15時) (
レス) @page33 id: d280296ddc (このIDを非表示/違反報告)
ゆち - 更新しないんですか？面白いので続きみたいです (2021年9月18日 23時) (レス) id: 965039a2b8 (このIDを非表示/違反報告)
おはぎ - 続きが気になります…！！！ (2020年11月20日 13時) (レス) id: 773f6d4603 (このIDを非表示/違反報告)
暁月 - わあああああ！！！！更新ありがとうございます…！！じっくり読ませていただきますね…！ (2020年4月28日 21時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
ピリオド - あっ、好き……です。更新大変だと思いますがお身体に気をつけて下さいね！ (2020年1月12日 8時) (レス) id: 704c3ea7dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沖縄県産マンゴー
| 作成日時：2018年6月8日 5時
