男性恐怖症の私が株式会社Ｓに入り、また、一から……やり直します…。

第233話　マイナスの部分・・・・。 ページ5

蒼井「そう…なんだ…。」

そういったしょーたんの顔は、とても複雑な、つらい顔をしていた…。

蒼井「どうして、僕がAちゃんと付き合ってるって言ってくれなかったの…？」

…きになるよね…。しょーたんに取ったらとても重要なことだもんね。でもね…？

賢章「…もし、今のしょーたんの立場がAちゃんで、Aちゃんの立場がしょーたんだったら…どうする？」

蒼井「え…？」

賢章「記憶をなくしたのがAちゃんだったら、どうする？」

蒼井「そ、それは…。」

賢章「言えないでしょ？記憶をなくした恋人に『私があなたの婚約者です。』なんて…。」

すると、しょーたんは暗い顔のまま下を向いて頷いた。

蒼井「…僕、どうしたらいいのかな…。Aのこと、何もわからない…！」

賢章「そのままでいい。今は…このままで…。」

蒼井「…。」

賢章「また一からやり直せばいい。運命は、逃げない！」

蒼井「…！」

賢章「…守るんでしょ？Aちゃんのこと…。そういった本人が…なんで今迷ってんのさ！」

蒼井「でも…。」

賢章「記憶をなくして、Aちゃんのことわからないなんて、俺からしたらただの言い訳にしか聞こえないｯ！」

蒼井「言い…訳…？」

その言葉に力強くうなずいた。

賢章「前のしょーたんは、今みたいに落ちぶれてない！！全てをまっすぐに考えるまっすぐな人だった！！！」

蒼井「…じゃあ…なんだっていうんだよ…。」

賢章「…え？」

蒼井「前のしょーたん前のしょーたんって…。今の僕にはわかんないんだよｯ！前がなんなんだよｯ！俺がこうやって考えて何が悪いんだよｯ！もう、自分のこともわからないのに、Aを守れってｯ！？ふざけんなｯ！」

俺の胸倉をつかんで翔太は怒鳴った。

蒼井「賢章が今も見てるのはポジティブに動いてたプラスの部分の前の俺だｯ！！だめなのかよ…。何でもかんでもそうやってうまくいくはずがねーじゃんがよ！！…賢章も…みんなと同じことを言うんだな…。…今の俺には…前の俺もわかんねーし、今までどうやって生きてきたかもわかんねーんだよ！」

俺はそういう翔太を見て驚きを隠せなかった…。俺が見ていたのが、本当にプラスの蒼井翔太だったなら…マイナスの蒼井翔太もいたはずだ。俺がプラスの蒼井翔太しか知らなかったということはほんとは、心の中ではこんな風に考えていたのかもしれない…。翔太なら…やりそうだ…。何でも自分一人で抱え、最後は堕ちていく…これが蒼井翔太だ。

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