4:chrysanthemum ページ5
朝だ…少しだけ憂鬱になりながら、グッ、と両腕を天井へ突き出すように伸びをする。
いつもなら目覚ましが鳴っていても再び布団へと戻るのだが今日はやけに目覚めが良かった。
チラ、と時計を見た。
出勤準備までまだ少し余裕がある。
いつもギリギリのゴミ出しも出来る。安心しながらゴミをまとめ、両手に持ち器用に玄関扉を開けて外へ出た。
ｶﾞﾁｬｯ
「…おや、おはようございます辻本さん。」
扉を開けると、丁度私の家の前を通ろうとしていた隣人さん…本田さんと鉢合わせをする。
本田さんは私が数年前にここに引っ越す前から隣の家に住んでいる方で、たまに何気ない会話や趣味の話などで花を咲かせる程には仲の良い隣人さんだ。
「おはようございます。本田さん。あとぽちくんも…」
本田さんの持つ紐の先には白い毛玉のようなもふもふとした仔犬。彼のペットのぽちくんは私の言葉に、わんっ！と元気に返事をする。あぁ…朝から癒やされる…。
「辻本さんがこの時間帯にいるのは少し珍しい…あぁ、そうだ…あれから体調は大丈夫でしたか…？」
あれから。数日前、自称ヒーローと出会った日のことだろう。
アルフレッドという男にヒロイン認定されたあの部屋。あの家。実は本田さん、彼とは知り合いらしく仲が良いそう。当時アルフレッドという男は私の家がわからず、とりあえず本田さんの家で泊まらせ、私が意識を取り戻したら家に返そうとしたらしい。その一連の流れも、本田さんが教えてくれたのだが。
「えぇ、体調はなんとか…あの時は本当に申し訳ございません。今度何かお詫びさせて下さい」
ぺこり、と頭を下げると、お詫びだなんて…と謙遜する彼の声が聞こえる。日本人だなぁ…
「そ、そういえばお時間大丈夫でしょうか…？かなり立ち話をしてしまいましたが…」
本田さんの心配そうな声を聞いて思わず携帯で時間を確認する。…ヤバイ。話しすぎた。
結局、いつもと変わらない時間になっていた。
「…！まずいそろそろ行かなくては…では本田さんまた…」
「あ…ま、待ってください！」
急ぐ私を引き止める声に振り向く。どうしたのだろうか…
「…辻本さんはアルフレッドさんのことは……いえ、何でもありません…気を付けてくださいね」
「…ありがとうございます」
何かを言いかけた本田さんに少し疑問に思いながらも、私も急がなくてはならなかったので気にせずお礼を言い、急いでゴミ置き場へ向かった。
(今度何を言いかけたか聞いてみようかな…)
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限界米領(プロフ) - 華氷さん» コメントありがとうございます！日常的な会話などが好きなので過激にならないようにしてますのでそう言っていただけるとすごく嬉しいです！今後もほっこりするようなお話になるように頑張っていきます！ (2019年10月18日 0時) (
レス) id: f4d846ffd6 (このIDを非表示/違反報告)
華氷(プロフ) - すごく面白くて可愛らしい物語ですね！とても大好きです！更新楽しみに待っております！頑張って下さい！！ (2019年10月17日 11時) (レス) id: 73a83246d3 (このIDを非表示/違反報告)
限界米領(プロフ) - スコ―ンさん» コメントありがとうございます！面白いと思ってくださってとても光栄です！拙い文章ではございますが、今後も更新ペースを落とさないように頑張ります！ (2019年10月14日 1時) (レス) id: f4d846ffd6 (このIDを非表示/違反報告)
スコ―ン(プロフ) - 面白いです！更新楽しみにしてます！(*´▽｀*) (2019年10月13日 21時) (レス) id: 92f83285a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：限界米領 | 作成日時：2019年10月9日 0時
