24話 ページ25
私がヒーロー科に入れたという実感を初めて持つことができたのは、下駄箱の位置だった。
A組の下駄箱に私の名前があることに少しの違和感と、これから始まるヒーロー科としての暮らしへの期待はきっとこれからも忘れない。
これは将来ヒーローインタビューされた時用の脳内原稿だ。
正直あまり細かいことは覚えていなかった。
相変わらず緊張からか酷く喉が渇き、体は常に水分を欲していた。
A組としての初めての思い出は、喉が渇いたこと。
始業式も無事終わり、生徒達は寮へ帰っていった。
本格的に授業が始まるのは明日からだった。
私は今日も訓練だった。
A組としてこれから過ごしていくということは、ヒーロー仮免許試験も近づいてくるということだ。
昨日とやることは一緒。
ロボットの動きを封じたあとに、どう操るか。
私はより簡単に素早く敵の動きを封じることを意識した。
なるべく体力の消耗を防ぐ為だ。
私は何度も奮闘したが、今日も上手くいかなかった。
「愛敬。お前にはヤツを動かせるという自信が足りてない」
相澤先生にはそう言われた。
自信が足りていないって、気持ちの問題じゃん。
先生の言葉には毎回頭を悩まされる。
私は寮に帰ってから、ある人に訊いてみることにした。
思った通り、その人物はいつも通り共同スペースに爽やかな香りを漂わせて勉学に励んでいた。
「八百万様」
私は彼女を呼んだ。
「その呼び方をするのは、愛敬さんですね」
八百万様は上品に笑い、こちらを見た。
相変わらず美しかった。
私は八百万様の隣のソファに腰掛けた。
「どうしました?」
「あのね。相談があるんだけど、聞いてもらえる……?」
思わぬ発言だったのだろうか、八百万様は目をぱちくりさせて驚いた。
そして柔らかい表情で微笑んだ。
「よろこんで相談に乗らせていただきますわ」
「ほんと!?ありがとう」
「でもその前に、愛敬さんにもこの紅茶飲んでいただきたいので、いれてきますね」
「あ、お構いなく……」
あまりの上品さに、私は自分も品のいい女になった気がした。
そして八百万様からお紅茶をいただいた。
とても心が落ち着く香りだった。
「それで、相談というものは一体なんですか?」
私は八百万様に、相澤先生に言われた言葉と、その意味について相談した。
自信からくる強さとはなにか。
思っていた通り、八百万様はその強さを知っていた。
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兎斗(プロフ) - この作品とても面白いです！続き楽しみにしています！ (2021年6月6日 1時) (
レス) id: d97bb948a4 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - あるむんさん» わざわざほんとにありがとうございます！めちゃくちゃ活力になります！これからもがんばります！！ (2020年6月4日 10時) (レス) id: ffef2d7169 (このIDを非表示/違反報告)
あるむん(プロフ) - さくらさん» お話はとても面白くて更新を楽しみに待っていますので！不快と言うよりは少し心配(？)になってコメさせて貰いました！！星とお気に入りしておきま〜す！ (2020年6月4日 0時) (レス) id: 2802bdf122 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - あるむんさん» 大丈夫かどうかはわからないです、、ただあくまで主人公の個性の名前として使わせてもらってるので、これから先話を進める上でもそのような意味ではでてこないです！もし不快に思われる方がいるならまた別で考えます。コメントありがとうございます！ (2020年6月4日 0時) (レス) id: ffef2d7169 (このIDを非表示/違反報告)
あるむん(プロフ) - ラブドール、主に男性がアレを楽しむ為に作られた人形を意味しますが大丈夫ですか？ (2020年6月4日 0時) (レス) id: 2802bdf122 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら | 作成日時：2020年5月21日 20時
