21話 ページ22
訓練4日目。
演習場にて。
昨日同様、ロボットを相手に戦闘を行う。
昨日の自分とは、確実に違った。
私は常に個性を使おうとすることをやめた。
集中力をそちらに使い体力が消耗してしまうことを防ぐ為だ。
確実に敵に触れられるタイミングが訪れるまで守りの体勢をとる。
「来た……!!」
迫り来る敵の拳の上に乗り、猛スピードで腕を駆け上がる。
肩、首と、何とか頭の上までよじ登る。
そして手を当て、その手に集中力を込めた。
敵の拳がこちらに向かってくる。
そのせいで集中力が切れてしまう。
「ダメだ集中しろ私!!」
その訴え虚しく、敵の拳が私に届くギリギリのところで私は個性を使うことをやめて咄嗟に避けた。
体勢立て直さなきゃ。
そう思い、地上に降りてロボットを見上げた。
「……あれ?」
ロボットは自らの拳を頭に突き刺していた。
そして、そのまま機能を停止させた。
「終了だ」
相澤先生が合図する。
私は思わぬ形で初勝利を迎えた。
「よくやったが、思い通りの結果ではなかったな」
「はい……。まさか自滅するなんて」
「まあ、結果は結果だ。よく戦った」
相澤先生は私の頭に手を置いた。
「個性の使い方がわかったのなら、今度は使えるようにしなければならない。次は集中力を切らすな」
「……はい!!」
私は休憩を挟みながら訓練を続けた。
何回かして、そこまで個性を使うことに集中しなくても、触れるだけで相手の動きを止めることができるようにまでなった。
しかし、大きなロボットを操ることまではできなかった。
「今日の分は終わりだ。思ったより疲労が溜まっているだろうからよく休め」
「ありがとうございました」
寮へ戻ろうと足を動かした私に、相澤先生が「おい」と声をかける。
「言い忘れていたが、お前の戦闘の仕方はいつも同じだ。そのうち敵に見破られる。合理的に戦えるようにしろよ」
「わかりました」
そう言って相澤先生と別れ、いつも通りクタクタの体でご飯とお風呂を済ませ、自室へ戻った。
いつの間にか増えてきた人形達。
それらを眺めていると、轟くんの人形を見てあることに気づく。
「これ、皆といない時に貰ってるじゃん」
つまり、轟くんは人形選別会に参加せず、私に個別で人形を渡してきたということ。
「君は抜け駆けをしたのかい?」
人形の頬を触って訊ねた。
「……どうしても貰ってほしかった」
動き出した人形が、そう話した。
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兎斗(プロフ) - この作品とても面白いです！続き楽しみにしています！ (2021年6月6日 1時) (
レス) id: d97bb948a4 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - あるむんさん» わざわざほんとにありがとうございます！めちゃくちゃ活力になります！これからもがんばります！！ (2020年6月4日 10時) (レス) id: ffef2d7169 (このIDを非表示/違反報告)
あるむん(プロフ) - さくらさん» お話はとても面白くて更新を楽しみに待っていますので！不快と言うよりは少し心配(？)になってコメさせて貰いました！！星とお気に入りしておきま〜す！ (2020年6月4日 0時) (レス) id: 2802bdf122 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - あるむんさん» 大丈夫かどうかはわからないです、、ただあくまで主人公の個性の名前として使わせてもらってるので、これから先話を進める上でもそのような意味ではでてこないです！もし不快に思われる方がいるならまた別で考えます。コメントありがとうございます！ (2020年6月4日 0時) (レス) id: ffef2d7169 (このIDを非表示/違反報告)
あるむん(プロフ) - ラブドール、主に男性がアレを楽しむ為に作られた人形を意味しますが大丈夫ですか？ (2020年6月4日 0時) (レス) id: 2802bdf122 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら | 作成日時：2020年5月21日 20時
