17.ダルマ ページ22
「…殺せ」
白い天井を見て、虚な目でそうつぶやく。
ドクがAの顔を覗き込んで嬉しそうに笑う。
「…いいなぁ！いいなぁ！
君のことは嫌いだが、今は犬みたい。
さっきよりずーっと愛くるしいモノだ」
Aには足がなかった。
予想通り、ドクは吸血鬼だった。
腰を刺した程度では当たり前に再生した。ドクは私を"無力化"するべく両足を腕とお揃いにした。Aは泣き叫んだ、殺せ、殺せと。
Aは何よりも"無力"になるのがこわかった。
ドクがうっとりして、Aの短くなった脚を撫でる。
「死なせない、殺さない。
少佐の命令なんですよ、"生かしておけ"と。
イギリスのおわりを共にみましょうね。
少佐にご報告しよう…きっと喜んで下さるぞ…」
ドクはAのことを一切気にせず、脚に頬ずりし撫でまわしブツブツとつぶやいた。一層嬉しそうに。
そうしてひとしきり落ち着いた後に、ドクはAの乗ったストレッチャーを引いて歩いた。
「あんなに饒舌だったのに、もうだんまり。
犬らしく吠えてみたらどうです？」
ガチャンガチャンと、ストレッチャーが揺れ動く。
Aは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「…ワンッ」
流れゆく壁をぼぅっと眺めてそういった。
ドクはAが自分のしもべになったかのように感じたのか、「やればできるじゃないか」といってぐしゃぐしゃと頭を撫でる。Aは届かない脚をジタバタと動かした。
「さぁ、さぁ、少佐に会えますよ！
あぁ…心躍るなぁ…私どこもおかしくないですか？」
ドクが大きなドアの前で止まり
身だしなみを整えだした。
「…お前らはぜんぶおかしい。今更だ。
気にするなら船から飛び降りるといい」
Aがふんっと鼻で笑ってそういう。
ドクは不快に思ったのか、Aの口に猿轡をする。
「少佐に迷惑をかけないよう、黙っていなさい」
そういってドアを開け、ストレッチャーを押した。
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あなぐらむ(プロフ) - わー！コメントありがとうございます。HELLSINGのOVAがAmazon primeで見れるようになってたので、見てどハマりしちゃいました！かなり粗雑な文、無茶な構成ですが読んでいただき光栄の極みッ！これからもチマチマ更新していきます！ (2021年1月6日 0時) (
レス) id: f9c01f9ab3 (このIDを非表示/違反報告)
地稲(プロフ) - 感想失礼します。まさかこんな時期にHELLSING小説を見られるとは思ってもいませんでした。心底感動しています！夢主のキャラも関係性も大好きです。更新楽しみにしています！ (2021年1月5日 19時) (レス) id: a7f6c2fae7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あなぐらむ | 作成日時：2020年12月22日 12時
