“私”と“私” ページ49
「引退……。」
「ああ。確かに、ヴィランが増えてきている現在が、
私たちヒーローにとって大変な時期だとわかっている
し、今が私の最盛期だというのも、十分理解している
けど、私に期待を寄せてくれている人々の前でまた倒
れるようなことがあれば、余計な心配をかけてしまう
し、より不安を煽ってしまうからな。」
「でもっ、お姉ちゃん自身は、どうなの…？」
冬美が心配そうな目で私を見つめてくれる。
私のせいで、そんな目をさせてしまっている。
「いいんだ。それに、ヒーローを引退するといっても
雄英の教師はまだ辞めるつもりはない。せめて、焦凍
たちが卒業するまでは、続けようと思う。」
不安そうな表情の3人が安心できるように、笑顔を作
ってみせる。
嘘は言ってないし、私自身、もう長くないことはわか
っている。
せめて、誰もが納得のいくような理由で静かに引退を
しようと思う。
「……なんで笑ってんだよ、姉ちゃん。」
「…焦凍？」
「なんだよその顔。気持ち悪ぃ。」
「焦凍！！」
冬美が焦凍を咎めようとする。
焦凍はそんな冬美に目もくれず、真っ直ぐ私を睨む。
「姉ちゃんのこれからのことを話してんのに、ずっと
へらへら笑って…虫唾が走る。」
「焦凍、いい加減にしなさいよ！お姉ちゃんだって、
ちゃんと私たちを不安にさせないように」
「その笑顔が余計不安を煽ってんだよ！！！」
ダンッ！！！と机を叩き、焦凍は立ち上がった。
「もういいだろ。部屋に戻る。」
「ちょっと、まだ終わってないでしょう！？」
「姉ちゃんがどうなろうと、俺には関係ない。」
「関係ないって…。」
「おい焦凍！いい加減にしろよ！」
夏雄も止めに入る。
それでも焦凍は私を睨み続けている。
「…今の姉ちゃんは俺が目指していた姉ちゃんじゃね
ぇ。俺が、みんなが憧れた姉ちゃんじゃねぇ。ただの
強がりで、弱虫で、人の顔色ばっかり伺って過ごして
いるような奴にしか見えねぇよ。…カッコ悪い。俺は
そんな奴にはならねぇ。」
ただの強がりで、弱虫…。
人の顔色ばっかり、伺っている…。
「…姉ちゃんが言ったんだろ…“私は私、他の誰でも
ない”って…。あの言葉は嘘だったのかよ。俺には、
今の姉ちゃんは別人に見えるけどな。」
別人…。
……そうだ、私は……みんなを、守りたかったのに。
いつから、こんな甘ったれるようなやつになった？
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水蓮月夜(プロフ) - 座布団さん» いえいえ！ご意見いただけるだけありがたいです！ありがとうございます。ミリオはいい奴だ…！ (2020年4月7日 18時) (
レス) id: 46a31dc65f (このIDを非表示/違反報告)
座布団 - オチ決まってたんですね(￣▽￣;)すいません！ (2020年4月6日 16時) (レス) id: 5f3a5b3cfe (このIDを非表示/違反報告)
座布団 - 凄くこの作品大好きです！！オチ希望は通形ミリオです！ (2020年4月6日 16時) (レス) id: 5f3a5b3cfe (このIDを非表示/違反報告)
水蓮月夜(プロフ) - ミナさん» ご意見ありがとうございます！先日のアニメでホークス出てきましたよね。カッコよかった〜！年齢も近いし、良いかもしれませんねd(^_^o) (2020年4月2日 9時) (レス) id: 46a31dc65f (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - ホークスがいいです！ (2020年4月2日 9時) (レス) id: 1305b21a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水蓮月夜 | 作成日時：2019年4月26日 18時
