時を超えてあの日に。 ページ39
「……静か、だな。」
背もたれに寄りかかると、キィッ…と椅子が音を立て
る。
それもそのはずだ。
今日からヒーロー科1年は職場体験に行っている。
新人教師の私は担当教科を持っておらず、事務仕事を
やるしかない。
消太はもちろん、私よりも先輩教師だから担当教科を
持っている。
悔しいことにマイクも、だ。
今この職員室にいるのは私とオールマイトさん、13号
さんだけだった。
「いつもはマイクが賑やかにしてくれるからね。」
トゥルーフォームのオールマイトさんはなんていうか
……乙女、だ。
うん、乙女。
しっくりきてしまう自分はおかしいだろうか。
「逆にいうと、マイクがいない束の間の休息って感じ
がしますよね。」
「氷雪さん辛辣ですね。」
「そうですか？でもそう思いません？」
「まぁ……うん。」
「ほら。」
…………シーン……。
また流れ出す沈黙。
実をいうと、私はこの空間があまり得意ではない。
他の人もいるから息を潜めて音を立てないように……
なんて、私には出来ない。
「……ちょっと教室に行ってきます。」
カラカラカラ。
廊下を歩いても、静かだ。
当たり前だが。
外では雀がちゅんちゅんと可愛らしく鳴いている。
梅雨の季節に入ったからか、少しジメジメする。
この季節を越えると、夏が来る。
そう思うと少しだけ寂しくなる。
まだ、この幸せな時間に浸っていたい。
流れる時間を、止めたい…と。
そんな願いを持ってしまうのは、我儘だろうか。
ー
当たり前だが、教室内も静かだ。
いつもはみんながここで仲良くわいわいしている。
でも、今日は誰一人としていない。
私は焦凍の席に座った。
……ずっと前、私が高校生の頃に座っていた席。
ただの『轟氷雪』だった頃の席だ。
「……あのときは、この気持ちなんて一生無縁だと、
決めつけてたな……。」
胸の奥があたたかくて、こそばゆくなるこのきもち。
消太が教えてくれた感情。
「せめて、私がここにいられる間に……」
ここ、とはこの母校のことなのか、それとも……。
そこまで考えて、思考を投げ出す。
そんなの考えたって無駄なのだから。
と、スマホに着信が届く。
その画面を見た時、私は目を大きく見開いた。
「……しがら、き……」
あの日、共に夜を越えたヴィランからだった。
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水蓮月夜(プロフ) - 座布団さん» いえいえ！ご意見いただけるだけありがたいです！ありがとうございます。ミリオはいい奴だ…！ (2020年4月7日 18時) (
レス) id: 46a31dc65f (このIDを非表示/違反報告)
座布団 - オチ決まってたんですね(￣▽￣;)すいません！ (2020年4月6日 16時) (レス) id: 5f3a5b3cfe (このIDを非表示/違反報告)
座布団 - 凄くこの作品大好きです！！オチ希望は通形ミリオです！ (2020年4月6日 16時) (レス) id: 5f3a5b3cfe (このIDを非表示/違反報告)
水蓮月夜(プロフ) - ミナさん» ご意見ありがとうございます！先日のアニメでホークス出てきましたよね。カッコよかった〜！年齢も近いし、良いかもしれませんねd(^_^o) (2020年4月2日 9時) (レス) id: 46a31dc65f (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - ホークスがいいです！ (2020年4月2日 9時) (レス) id: 1305b21a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水蓮月夜 | 作成日時：2019年4月26日 18時
