大人な君と幼い心。 ページ33
「焦凍。」
月明かりの下、うっすらと汗をかいた弟。
「……姉ちゃん。」
「練習ご苦労さん。どうだ？一試合、相手してやる
ぞ？」
「……いい。」
焦凍のその反応に心底驚いた。
てっきり、喜んで誘いに乗ってくれると思っていた
のだが…。
「そう言わずにさ。私もお前がどれくらい成長した
のか、知りたいから。」
「………わかった。」
ルールは個性を使わずに、相手を戦闘不能にするか
「参った」と言わせたら勝ち。
「よし、行くぞ焦凍！」
私はおもむろに突っ込んでいく。
焦凍は横に跳んでかわす……が、右足の蹴りまでは
避けられず、攻撃を食らった。
「っぐ……」
「体術は身体の使い方がわかってないと不利になる
からな。それに、おもむろに攻撃するだけじゃダメ
なんだ、よ！」
殴りかかってきた焦凍の拳を避け、足を払う。
「相手が次にどんな行動をするか予測しながら攻撃
する。自分の予想を反する行動をしたとしても臨機
応変に対応するんだ。っにしても、お前筋肉だけは
あんのにもったいねぇな！」
「…っぅるっせぇ……」
「そう怒るなって。」
焦凍の目は私を見ていない。
きっと、焦凍は“私”じゃなく、私が似てしまった憎い
“父さん”を見ている。
「……心は、幼いってわけか……」
私は私、父さんは父さんだと、幾度となく焦凍に
言い聞かせてきたというのに。
焦凍は、まだ私を“父さん”と重ねている。
「私を見ろ！焦凍！！」
「っ！！」
焦凍の身体を地面に叩きつける。
ふざけるな。
私は私だ、他の誰でもない。
「勝手に、父さんと重なるな。」
「……ねえ、ちゃん？……」
「わかってんだよ！！お前は未だに私を父さんと重
ねて見てる！私は私だ、他の誰でもない！お前に何
度も何度も言ってきたはずだ！なのに何で！！何で
わかってくれない！お前は私と違ってっ……！！」
『焦凍の…最高傑作の育成に励むんでしょ？』
ああ、そうだ。
私も、成長していなかったのか……。
また、焦凍のことを“最高傑作”だと。
私とは違う。
焦凍は父さんの作品なんだと。
私は……失敗作でしかないのだと。
「……悪い、焦凍。頭冷やしてくる。」
「姉ちゃん。」
「ごめんな、練習の邪魔して。おやすみ。」
ごめん…焦凍。
お前は本当に優しい子だ。
でも……今は、1人にさせてくれ。
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水蓮月夜(プロフ) - 座布団さん» いえいえ！ご意見いただけるだけありがたいです！ありがとうございます。ミリオはいい奴だ…！ (2020年4月7日 18時) (
レス) id: 46a31dc65f (このIDを非表示/違反報告)
座布団 - オチ決まってたんですね(￣▽￣;)すいません！ (2020年4月6日 16時) (レス) id: 5f3a5b3cfe (このIDを非表示/違反報告)
座布団 - 凄くこの作品大好きです！！オチ希望は通形ミリオです！ (2020年4月6日 16時) (レス) id: 5f3a5b3cfe (このIDを非表示/違反報告)
水蓮月夜(プロフ) - ミナさん» ご意見ありがとうございます！先日のアニメでホークス出てきましたよね。カッコよかった〜！年齢も近いし、良いかもしれませんねd(^_^o) (2020年4月2日 9時) (レス) id: 46a31dc65f (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - ホークスがいいです！ (2020年4月2日 9時) (レス) id: 1305b21a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水蓮月夜 | 作成日時：2019年4月26日 18時
