真と偽 ページ30
「おかしいよなぁ。アンタは俺を“助けよう”とした。
でも、今アンタは“敵”になった俺に攻撃した。」
ゆっくりと、小さな子供に言い聞かせるように優し
い声色で近づいてくる。
「アンタの好きな正義は、所詮“綺麗事”だよな。」
違う。綺麗事なんかじゃない。
これは、私の信じたものだ。
昔から、ずっとずっと小さかった頃から信じていた
まっすぐな気持ち。
「違うか？轟氷雪。」
手を伸ばせば捕まえられるくらい近い。
でも…私は動けなかった。
「でもさぁ…アンタ達が守るものが本当の正義だと
言い切れるのか？」
「…どういうことだ。」
「ヒーローはヴィランから国民を守り、平和にする
のが仕事。…でも、やってることはヴィランと同じ
だろ。」
「っ…」
「ヴィランはヴィランで、平和にしようとしてる。
…でも、平和にしようとすればするほどヒーローに
邪魔される。」
「……それは……」
「おかしいだろ？アンタらも俺らも平和を願う人間
に過ぎない。なのに、“ヒーロー”と“ヴィラン”という
敵対するものが存在してしまうが故に叶えることが
出来ない。」
奴の気持ちが滲んだ言葉は、私の心に語りかける。
「だから、俺らは“ヒーロー”を失くそうとしてるだけ
だよ。この世から。ヒーローがいなければヴィラン
だっていなくなるだろ？正義と悪、因果関係にある
存在がいなくなればこの世は平和になる。」
死柄木の言うことは悔しいけど正しい。
確かにこの世にヒーローもヴィランもいなければ、
平和な世界が作れるかもしれない。
「……確かに、お前の言っていることは分かる。」
俯き気味になっていた顔を上げる。
「でも、お前のそれは理想論だ。」
「……。」
「ヒーローもヴィランもいなくなれば平和な世界が
訪れる。確かにそうかもしれない。…でも、それは
人間の進化によって叶わぬ夢になってしまった。」
そう。これは叶わない、遠い夢になってしまった。
「私達は生まれてくる時に災いの種をすでに持って
いた。」
「……個性、か。」
人間の進化が進んでしまった。
その結果、これだ。
「小さな子供の喧嘩の原因は主に個性だ。役立たず
な力を持った子供と、強い力を持った子供。そして
何も持たない子供。生まれた時から上下関係は決ま
っているようなものだ。」
その関係がヒーローとヴィランを作ってしまった。
「結局、正義なんてものは無いんだよ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 174人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水蓮月夜(プロフ) - 座布団さん» いえいえ！ご意見いただけるだけありがたいです！ありがとうございます。ミリオはいい奴だ…！ (2020年4月7日 18時) (
レス) id: 46a31dc65f (このIDを非表示/違反報告)
座布団 - オチ決まってたんですね(￣▽￣;)すいません！ (2020年4月6日 16時) (レス) id: 5f3a5b3cfe (このIDを非表示/違反報告)
座布団 - 凄くこの作品大好きです！！オチ希望は通形ミリオです！ (2020年4月6日 16時) (レス) id: 5f3a5b3cfe (このIDを非表示/違反報告)
水蓮月夜(プロフ) - ミナさん» ご意見ありがとうございます！先日のアニメでホークス出てきましたよね。カッコよかった〜！年齢も近いし、良いかもしれませんねd(^_^o) (2020年4月2日 9時) (レス) id: 46a31dc65f (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - ホークスがいいです！ (2020年4月2日 9時) (レス) id: 1305b21a2d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水蓮月夜 | 作成日時：2019年4月26日 18時
