結局 ページ15
・
ドンヒョクの声に怯えながら、家の外へ向かった。
今までの話が聞かれてたらどうしよう、いっそのこと聞こえててもいいのかな？グルグルと巡る思考に目が回りそう。
震える手でドアを開いた途端に、グイッと腕を引っ張られてバランスを崩した。
『…ごめんA』
あーいま私、ドンヒョクに抱きしめられてるんだ。
……なんで？
処理速度が落ちた頭で必死に答えをたたき出す。
『ごめんね、遅くなっちゃった』
「…なにが？」
顔を上げた途端に、唇が重なった。
『ずっと俺の好きな子だったよ、Aは』
おでこをくっつけて優しく囁かれたその言葉に、何年分かの想いが涙になって溢れ出した。
「……っ、遅い、ずっと私も好きだったのに、｣
『ん、ごめんごめん。』
グイッと肩を押せば、その手はとられてぽんぽん頭を撫でられた。
『俺のためにファーストキスとっといたんでしょ？』
「…っるさい、っ｣
ニタニタ嬉しそうに顔を覗いてくる。どんな気持ちだったかわかってるのかこの男は。
『俺の始めてもAなの知ってた？』
「……は？」
『中2のとき、昼寝してたAにキスしたのが俺の始めて』
「最っ低…！」
『2回目は、高1の春。入学式のあとに俺ん家のソファでウトウトしてたとき。まぁそれからは色々あれだけど、』
私がいまドンヒョクとキスしたのは初めてじゃないってこと？悔しいから勢いにのって、余裕そうにしているドンヒョクの顔を掴んで、思いっきり唇に噛み付いてやった。
『いってぇよ、』
そう言いながらも嬉しそうなの隠せてないね
「……今のが4回目、でしょ？」
『じゃあ5回目以降は俺の部屋でどう？』
「私、すっごいドンヒョクのこと好きだけど耐えられる？」
『俺がいままでどんな気持ちだったか教えこんでやるよ』
なんだかやけに遠回りをしてしまった気がするけど。
私の片想いは盛大に終わられた気がする。
『ジェノと付き合うって言うからどうしようかと思った』
「は？あんたは彼女いっぱいいたのに？」
『だってお前が俺のこと好きだって知らねぇし』
「……やっぱり気づいてなかったんだ」
『それに好きでもない女の家行って布団入らねぇよ』
少しづつ、答え合わせしていかなきゃね。
『さみぃから俺の手あっためて』
絡め取られた指先は相変わらず冷たかった。
おわり
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 343人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぬこた(プロフ) - ぴょんさん泣初コメ送らせていただきます🎶 この高校生特有のアレ…ﾂｰｰｰﾝしちゃいました…泣え！？めちゃいいんだけど！？って言いながらもっかい読み直して今コメ送らせていただいております…(T . T) とにかく最高でした…本当にありがとうございました泣 (2021年10月23日 20時) (
レス) id: 6364371bd2 (このIDを非表示/違反報告)
ソア(プロフ) - かれこれ5、6年占ツク読んできてるけど初めてコメントします！すっごいドキドキしました！楽しみにしてます^_^！！ (2021年10月22日 20時) (レス) @page7 id: 2f045f2b70 (このIDを非表示/違反報告)
リュイ - ナイスですぴょんさん、今度はヘチャンなんですね！私、最近ヘチャン大好きなんですよ！これからも頑張ってください〜 (2021年10月22日 17時) (レス) @page6 id: 2183f1b6e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴょん
| 作成日時：2021年10月22日 13時
