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それでもオレは“未だにAと会えていない”という事実に絶望するほど、長い年月を重ねたようには思えない。
「マクヒョンがずっと探し続けて、それで、運良くAヌナを見つけたとしてどうするの？」
「どうするって……」
「ヒョンの片思いだったんでしょ？」
「お、お前そんなストレートに……」
「違う？」
「……あってるよ。だからなに」
「例えば、僕も絶対考えたくないくらい嫌なんだけど、もしAヌナが結婚してたら？」
「幸せならそれでいいだろ」
「即答した割りには嘘っぽい答え方なんだよなぁ……」
「お前も本当に好きな人ができればわかるよ」
「……あっ！もしかしてマクヒョン、Aヌナが誰かのものになるとこ想像しちゃった？」
「してないから」
「使い古されたセリフしか持ってこれないほど実はショック受けてたりする？」
「ヘチャニ、お前……！」
くるくると、オレをからかって楽しそうに笑うヘチャンが「でもね、マクヒョン」と口を開いた。
マグカップを持って、オレをじっと見つめてくる目は初めて会った頃とちっとも変わらない。
「ヒョンが苦しいと思うのなら、手放さないといけないと思う。それがどんなに綺麗で、輝いていてもね」
正直に言えば、ヘチャンが何を考えているのか検討がつかない。
明るい声色で言った言葉は「諦めろ」と諭しているのか、もしかしたら反対にげきを飛ばしているのか。
それとも哀れに見えるオレを慰めているのか。
ヘチャンはいつも解りやすいようでいて、その実何を考えているのか解らない時が多い。
辛そうな時に他人を笑わせるような事を言うし、人を茶化しながら泣きそうになってる時だってある。
今だって軽口を叩いていながら、ひどく参った顔をしていた。
自分にはヘチャニが何を考えているのかは解らない。
だからこそ出来るだけ、本当に思っていることをいつだって伝えているつもりだ。
「苦しいよ。でもきっと、手放した方がもっと苦しいと思う」
「そんなの、やってみた事もない癖によく言うよ」
「第一ヘチャン、オレ達がAの事を忘れられると思うか？」
「……それが出来れば苦労しないよね」
「だからいいんだよ、オレ達は。このままで」
姿勢を正しながらかっこをつけてコーヒーを一口飲むと、ヘチャンが「マクヒョンって本当にバカ」と笑い、その拍子にマグカップを落としてラグに大きなシミを付けた。
(襲来・完)
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さっちゃん(プロフ) - 作品読ませていただきました。途中胸が苦しくなるほど、とても良い作品でハッピーエンドで終わり良かったです。またトキメキと良い意味での胸の苦しさを求めて何度も読もうと思います。素敵な作品をありがとうございます。 (9月26日 22時) (
レス) @page49 id: 585b81384e (このIDを非表示/違反報告)
ちるぬな(プロフ) - 初めてこの作品を読ませていただきました。言葉遣いからストーリー構成まで、ほんとうに好きです。素敵なお話ありがとうございます。これからまた何十回と読ませて頂きます^_^ (9月20日 21時) (レス) @page49 id: 7c0a70e250 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» 私こそすみません…！作品の方また楽しんでいただければ幸いです！ (2021年8月31日 11時) (レス) id: 9dd39ae13b (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - せのさん» そうだったんですね！失礼いたしました...！ (2021年8月30日 21時) (レス) id: ef764b671d (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» こちらこそ読んでくれてありがとうございます〜〜！！Twitterはしてないので教えられず……！ (2021年8月30日 16時) (レス) id: 01bd2f8507 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2021年8月2日 0時
