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「何やってんだオレは……」
よく考えれば、似てる人がいたからって衝動的に行き先を変えるべきじゃないだろ。
当たり前にホテルも用意してないし、予定は全部フラットになってしまった。
いや、予定なんか無かったけど、快適な旅にするためにも簡単な予習くらいはしていて……
荷物を持って飛行機を降り、空港から外へ出た。
フライト中に届いていたヤンヤンからの地図とメッセージを解読しながら、乗り込んだタクシーの運転手に行き先を告げる。
こっちの時間はもう昼を回っていた。
泊まるところはどうしようか。
見知った場所は昔と比べて変わったところも多いけど、だいたいの位置や建物もなんとなく把握できる。
ホテルの部屋が取れなければ友人を頼っても良い。
ああいや、でもこんな状況で会うのはちょっと……それはまた今度にしておこうかな。とりあえず今はそんな空気じゃない。
失態を笑われるのはまた今度がいい。
タクシーを降りて目の前にあったホテルへ飛び込んでみると運よく空室があって、日程分ここに泊まることをその場で決めた。
部屋に荷物を運んでもらうよう頼んでから外へ出る。
カフェに入って簡単な軽食を済ませれば四時を過ぎていて、目を焼くような日差しは僅かにやわらいでいるように感じた。
それでもまだ暑いんだけど。
そういえばこんな日のAは、臆することなく日向に出て行くジェヒョニヒョンを羨ましそうに眺めていたっけ。
今は何も気にすることなく太陽の下を歩けているんだろうか。そうだったら良いな。
それにしても、それにしてもだ。
少し弱まったように感じた陽の光も、うろうろと歩いていればなかなかのダメージになる。
今日くらいはゆっくり部屋で休んでいても良かったかもしれない。
そんな事を思いつつも、きっとそうしていられなかっただろう。
だって、今もホテルに戻るなんてそんな気分にはなれずに、遊歩道を歩き続けている。
突き当りを行けば川沿いに行き止まり、欄干に手をつきながら川を眺めた。
うん。こうしていても仕方ない。
やっぱり一旦ホテルで休憩を取ろう。
そう思って振り返った瞬間、風が吹き、目の前に麦わら帽子が飛んでくるのが見えた。
オレの足元に運ばれてきたそれを持ち上げ、簡単に汚れを払う。
広いツバは柔らかく、重力に負けてぐにゃりと曲がった。
「すみません」
その声に聞き覚えがあった。
発音にも、トーンにも。
麦色の帽子を持つ指がひそかに震えた。
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さっちゃん(プロフ) - 作品読ませていただきました。途中胸が苦しくなるほど、とても良い作品でハッピーエンドで終わり良かったです。またトキメキと良い意味での胸の苦しさを求めて何度も読もうと思います。素敵な作品をありがとうございます。 (9月26日 22時) (
レス) @page49 id: 585b81384e (このIDを非表示/違反報告)
ちるぬな(プロフ) - 初めてこの作品を読ませていただきました。言葉遣いからストーリー構成まで、ほんとうに好きです。素敵なお話ありがとうございます。これからまた何十回と読ませて頂きます^_^ (9月20日 21時) (レス) @page49 id: 7c0a70e250 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» 私こそすみません…！作品の方また楽しんでいただければ幸いです！ (2021年8月31日 11時) (レス) id: 9dd39ae13b (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - せのさん» そうだったんですね！失礼いたしました...！ (2021年8月30日 21時) (レス) id: ef764b671d (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» こちらこそ読んでくれてありがとうございます〜〜！！Twitterはしてないので教えられず……！ (2021年8月30日 16時) (レス) id: 01bd2f8507 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2021年8月2日 0時
