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『なあ、生きてるか？寂しくないか？』
「心配性だなぁ。悠太くんからはよく電話掛かって来るし、たまに会いにも来てくれるし」
『最初はあんなに寂しがってたくせに……今じゃこんな慣れて……』
「慣れないよ。まあでも、我慢できるようにはなったかな。ある程度は」
『ええ……』
「悠太くんの方が寂しそう、私がいなくて」
『まあな』
「……珍しい」
『まっ、オレもお前もそういうんと上手に付き合っていかんと。寂しさなんてそもそもが消えてなくなるもんでもないしな』
大抵、その場所に大人しく留まっていられるのはせいぜいが半年ほどだ。
もちろんビザなんかの兼ね合いもある。
最初は追われるように場所を転々と変えていたけど、勝手が分かればこうして少ない荷物で場所を変えることができた。
選んだところはどこも良い場所だったけど、離れることに名残惜しく感じたことはない。
ただの一度も。
『それで、次はどこ行くん？』
「この国は気に入ってるんだけど、一度出なくちゃいけなくて」
『ほーん』
「今度はもう少し人の少ない所に行こうかなぁ」
『お前……去年は人が多い所に行きたいって言ってたやろ』
「都会は都会で便利なんだけど……」
『やからって田舎も不便やけどな。一人で住むんやから簡単に許可できんわ、危なすぎるし』
「そうなんだよね、ボディガードでも雇おうかな」
『月一千万くらい出すならオレが雇われてやってもええけど？』
「悠太くんはすぐ強盗に屈しそうだからダメだよ」
想像して笑えば、悠太くんはわざと不貞腐れたような声を出す。
出会う人から、それこそ今電話で話している悠太くんからも「旅をしているのか」と問われることが何度もあった。
旅と言うのは明確に「帰る場所」のある人だけが言える言葉なんじゃないかと思う。
私には帰るような場所はない。
じゃあ何をしているのかと言われると、それが本当に何もしていなかったりする。
観光するわけでもなく、有名なお店でご飯を食べるわけでもなく、ただただそこで息をしているだけだ。
近くを散歩したり、身の回りの食料品や日用品を買いに出掛けること以外、最近はあまり外へも出ない。
最初の頃は観光地やカフェにだって頻繁に通っていたけど、最近は足が遠のいてしまっている。
死なない程度の生活だと悠太くんにはよく言われるけれど、確かにその通りなんだと思う。
『お前は、』
「うん？」
『後悔しとる？』
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さっちゃん(プロフ) - 作品読ませていただきました。途中胸が苦しくなるほど、とても良い作品でハッピーエンドで終わり良かったです。またトキメキと良い意味での胸の苦しさを求めて何度も読もうと思います。素敵な作品をありがとうございます。 (9月26日 22時) (
レス) @page49 id: 585b81384e (このIDを非表示/違反報告)
ちるぬな(プロフ) - 初めてこの作品を読ませていただきました。言葉遣いからストーリー構成まで、ほんとうに好きです。素敵なお話ありがとうございます。これからまた何十回と読ませて頂きます^_^ (9月20日 21時) (レス) @page49 id: 7c0a70e250 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» 私こそすみません…！作品の方また楽しんでいただければ幸いです！ (2021年8月31日 11時) (レス) id: 9dd39ae13b (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - せのさん» そうだったんですね！失礼いたしました...！ (2021年8月30日 21時) (レス) id: ef764b671d (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - はるかさん» こちらこそ読んでくれてありがとうございます〜〜！！Twitterはしてないので教えられず……！ (2021年8月30日 16時) (レス) id: 01bd2f8507 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2021年8月2日 0時
