限界なんだよ！！ 3 ページ18
『晩御飯は何食べる？』
「お姉サマの好きなものを作らせていただきマス」
タラタラタラと流れる汗とやたら渇く喉に、ゴクリとさして溜まっていない唾液を飲み込んだ。
その瞬間、今まで黙って見ていた蘭がフッと笑う。
「竜胆
姉ちゃんの奢り」
「え？」
「頑張ったお前に姉ちゃんがご褒美だってよ
お前の好きなの奢ってくれるらしいぜ」
え！と先ほどとは違って歓喜でワントーン上がった声に、ふふっと自分の胸元から聞こえる声。
スルッとネクタイから離れた手が、歪んだネクタイをそっと元の位置に戻す。
『何食べたい？』
「肉！肉食いたい！」
少年のようにキラキラと輝かせた目でハッキリと言う竜胆に、Aはふはっと思わず笑った。
「な？竜胆なら肉って言うって言ったろ〜？」
そう言いながらこちらに向かってくる蘭と、クスクスと笑うAに竜胆は首を傾げる。
「下にお前の車が停まって、九井から帰ってきた連絡受けたから
姉ちゃんが飯連れて行こうって言ってたんだよ
姉ちゃん2ヶ月間お前の話しかしてなかったぞ
なのにあんなこと言うんだもんなぁ〜
死にたがってんのかと思ったわ〜」
竜胆のデスクに少し腰を下ろして、長い足を曲げて話す蘭の言葉に竜胆が目を見開く。
「姉ちゃん、ごめん」
『いいよ
竜胆じゃなきゃ死んでたけど』
うっ。と言葉を詰まらせた竜胆の顔の横にある髪をふわふわと撫でて、ごめん。と小さく謝った竜胆の頬にキスをしたAは、好きなだけ食べな。と頬を緩めた。
その日竜胆は、Aに頭を洗ってもらい、ドライヤーもしてもらい、Aを抱き枕に真ん中で2ヶ月ぶりの暖かな眠りについた。
これが竜胆の壊れ方と、それの直し方。
次は蘭だ。
この男はうまく人を使う為、滅多に限界は来ない。
むしろことごとく周りを限界値まで一気にワープさせる側の人間なのだが、ごく稀に忙しくなったスケジュールに限界が訪れるのだ。
ガチャっと開いたのは給湯室がある幹部専用の一室。
主に灰谷の第二の部屋になりがちな部屋だが、ここ数週間蘭の姿はなかった。
珍しく馬車馬の如く働いた蘭が久しく入ってきたのだが、その瞳の紫はひどく濁り、心なしか頬がこけているようにも見える。
この蘭の様子に、出方によっては命はないとその場にいた全員が判断して誰も声を発しない。
蘭の次の行動及び言葉を固唾を飲んで待つ。
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轟琴葉(プロフ) - 凄く面白くて小説の書き方や表現がとっても上手くて二、三度読み返してしまいました！これからも活動頑張ってください！ (3月24日 14時) (
レス) id: 527b239b5f (このIDを非表示/違反報告)
喜成 - 読み終わってしまったが。次何を読んだらいい?これ以上の作品ありゅ? (2023年4月21日 20時) (レス) @page41 id: 330e82b250 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - めいだぅ！さん» コメントありがとうございます！！嬉しい限りです😭 めいだぅ様にとって記憶に残る作品になれた事を誇りに思います✨ ありがとうございました🥰 ぜひ今後ともよろしくお願いいたします☺️ (2023年2月8日 16時) (レス) id: 5cb8755336 (このIDを非表示/違反報告)
めいだぅ！(プロフ) - 完結おめでとうございますうぅ😭ずっとずっと1番大好きな作品で追いかけさせて貰ってました😭この小説で号泣したり、笑ったり、ときめいたり、ほんとに素晴らしすぎる作品でした😭主さんの今後のご活躍楽しみにしてます(^ ̥_ ̫ _ ̥^) (2023年2月7日 23時) (レス) @page41 id: c10d69082a (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - YUMiさん» コメントありがとうございます！！ そう言ってもらえると嬉しいです😭😭 沼にハマってください仲間です😂 こちらこそありがとうございます♡ ぜひまたよろしくお願いします✨✨ (2023年2月2日 20時) (レス) id: 5cb8755336 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉兎
| 作成日時：2022年9月28日 20時
