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「……あれ…?」
「Aちゃん?」
「あれ?……え…えっ!?」
「どうしたの?」
「ない!?ピアスがない!?」
「ピアス…?」
「ど…どうしよう…アレを無くしちゃうなんてっ…」
「Aちゃん落ち着いて。どこか…どこか俺と会う前に寄ったりしてない?」
「あっ…」
「はは………電話で聞いてみな。」
誰にとは言わずにそう言ったジフンさん。
きっと、ドンへに会ってたってすぐに気がついたんだと思う。
申し訳ない気持ちを膨らませながらも頷いて席を立つ。
少し離れたところで、携帯のディスプレイをタップして。
すぐに鳴り出したコール音は数度鳴っただけで途切れる。
「ヨボセ……」
「ドンへ!!ピアスが!!!」
ドンへが言い切る前に、しゃべり出す。
「A?」
驚いた様な声のドンへ。
「うん!!ねぇ、私のピアス落ちてなかった!?」
「ピアス?俺があげたやつ?」
「そう!!今、片方ないことに気がついて…」
「また落としちゃったの?」
正直に無いってことを言えばちょっと怒ったような呆れた声。
「……ごめん…なさい」
もう何度も落として、その度にドンへの手から返ってきたブルーの小さなハートがさがったピアス。
大切な大切な…ドンへからの誕生日プレゼントなのに……。
いい加減本気で呆れられるんじゃないかと、不安と恐怖と申し訳なさで涙が浮かんでくる。
「えっ…いや…あの……」
小さく焦ったドンへの声が聞こえて…
なのに、その後は途切れてしまった声。
「ドンへ…?」
微かに何かの音は聞こえるのに、ドンへの声は全くしない……
「ドンへ……ドンへ!?」
何かあったんじゃないかと不安になって、何度もドンへの名前を呼ぶ。
「ドン……っ!?」
不意に後ろに引っ張られた体。
ギュッっと、後ろから抱きしめられて……
間違えるはずのないドンへの香りが私を包む。
「ご…めんっ…」
「ドン…へ…?」
少し息切れした掠れた声。
甘く低い声が私の耳元でして…。
ドンへを呼んだ私の声はひどく上ずってる。
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作者名：HARU
| 作成日時：2015年9月30日 21時
