5(DH) ページ6
「わぁ、中も可愛いお店!!」
「しばらく見る?」
「いいの?」
「もちろん。ゆっくり見てて良いよ。俺もブラブラ見てるから。」
「うん!!じゃぁ、ちょっとだけ。」
そう言いながらルンルンとお店の中を見て回り出すラナ。
俺はまず店員さんにショーケースのコートをお願いする。
「もし、彼女が他に欲しいものがあったら一緒にお願いします。」
「かしこまりました。」
「あっ、それから……」
店員さんはもう一度かしこまりましたって頭を下げてからラナの方へと歩いていく。
俺はちょっとだけ小物を見てから店内に置かれた椅子に座る。
買い物中のラナは店員さんと楽しそうに話してる。
可愛いなぁって思う。
俺より3歳年下のラナは可愛らしいという言葉がぴったりで、服装も女の子って感じのものが多い。
友達経由で知り合ったラナは、初めてあった時から守ってあげたくなるような子で。
一目惚れだと言ってくれたラナと付き合うようになるまで時間はかからなかった。
ワンピースを手に取って自分にあててみるラナを微笑ましく思いながら、なんとなく外に視線をうつす。
「A…?」
俺達のいるお店の斜めむかいのカフェ。
テラス席に座るA。
目の前にはもう一つアイスコーヒーが置かれてて…
彼氏と一緒……?
そう思ったのと同じぐらいに店の中からテラス席に現れた男性。
背が高くて、モデルみたいなスタイルで。
ちょっと年上そうなその人は、メガネも似合うイケメン。
座って待つAに柔らかく笑うと、Aも優しい笑顔を返した。
ズキン…
突然胸にはしった痛み。
それを無視して、食い入るようにカフェの2人を見る。
Aが笑ってる……
そんなの恋人の前なんだから当たり前で。
「っ!?」
イケメンな男性がAの手をテーブルの上でギュッっと握るのが見えて、思わず立ち上がる。
「あんな公共の場で何やってんだよ!?」
さっき自分がカフェでした事を棚に上げて。
ただ手をつなぐという行為もAがすると何だかモヤモヤする。
……俺だってほとんど繋いだことないのに。
モヤモヤとイライラとズキズキと。
なんだかわからない気分に頭をグシャグシャにかく。
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作者名：HARU
| 作成日時：2015年9月30日 21時
