君の耳に青いピアス (ページ12)

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ラナとお店に戻って店員さんに謝れば、笑って大丈夫ですよって言ってくれて。

取っておいて貰った商品を確認する。

「ラナ。他に欲しいもの無かった?」

「…うん。」

あれだけ楽しそうに見てたのに、お会計の場にはコートしかない。

「遠慮しなくて良いんだよ?」

「ううん。良いの……。」

「そう?」

じゃぁそれでお願いしますって店員さんに言って支払いを済ませる。

「ラッピングはどうなさいますか?」

「お願いします。あっ、これは別に包装して貰えますか?」

そう言って、青い箱を指さす。

…あのショーケースに飾られていた時計。

きっとピアスと同じくらい似合って、大事にしてくれる…

ピアスを無くしたと泣きそうになって。
俺が怒ってないってわかっただけで本当に泣いちゃう

ーーー愛しい人

「……へ?」

自分の中に自然と浮かんだ言葉にマヌケな声が出て固まる。

バクバクとうるさいぐらいに心臓が主張をはじめて、体中がカーっと熱くなる。

「どうかされましたか?」

「い…いえ!!何でもないです!!」

怪訝そうな店員さんに手を振って誤魔化して。

チラリと包装されるのを待つ時計を見る。

時計を見て、驚いて。
それから嬉しそうに笑う…Aの顔が浮かべばキューっと胸が締め付けられて。

……自分の中で白旗を上げる。

俺…Aが好きなんだ……

気がついて認めてしまえば、自分の行動の一つ一つに納得できて。

ふわりふわりと漂っていたAへの想いが、着地点を見つけたかのように心に降り積もる。

彼女がいても会いたくて。

Aに彼氏が出来るのが嫌で、触れるなんてもってのほかで……

きっと最初から『友達』なんてくくりじゃなかったんだ。

だけど…

「お待たせ致しました。」

コートの入った大きい袋と、時計の入った小さな袋の両方を受け取って。

ーーー俺にはラナがいる。

その事実はかえられない……

「ラナ、行こうか?」

「うん…」

小さく笑ったラナとまた手を繋いでお店を出た。

「オッパ…」

「ん?」

「ちょっと疲れちゃった…。」

「じゃぁ、お茶する?」

「うん。そこに入ろ?」

ラナが指さしたのは、さっきAが恋人がといたカフェ。

ズキンと痛む胸を誤魔化しながら、笑顔で頷く。