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重たい扉がゆっくりと後ろで閉まっていく。
それが閉まりきる前にもう一度開かれる音がした気がしたけど、振り返らずにズンズン歩く。
幸い、本会場と逆の位置にあるこの場所からは誰にも会わずに外に出れそうで。
視界が霞むのを乱暴に手で拭いながら出口を目指す。
長い廊下からやっと出口が見えてきたところで、グイッと腕を引かれてそのまま後ろへ体勢が崩れる。
「きゃっ!!」
倒れる!!と思ったのに、近距離でポスンと何かにあたって止まる。
その何かが、腕を引いた人の胸だなんて確認しなくても分かって。
急いで離れようとしたのに、ギュッとつかまれた腕がそれを許さない。
『Aちゃん、歩くの速すぎ…』
ひどく甘い声が耳元で聞こえて、後ろから自分の肩にその声の主の頭が置かれる。
もうビックリして固まった私に、もう一度聞こえてきた甘い声…
『Aちゃん…?』
名前を呼ばれただけなのに、自分の耳が真っ赤になってるのが分かって。
とにかく離して欲しくて暴れる。
そしたら、《わっ!!》って声がしてビックリした相手が………あろうことか帯が巻かれた腰に両手を回して……
……どう見ても、バックハグ状態。
『は…離してください!!』
テンパってた私は、何故かその人の腕の中でクルリと回って…
気がつけば。
驚いた………ドンへさんの顔が至近距離。
ーーーすっごく綺麗
男の人なのに整いすぎたその顔を至近距離で見て、なんだか惚けたように見つめてしまう。
そしたら、ドンへさんの顔がどんどん近づいてきて…
この距離でも綺麗なんてすごいなぁ…
なんて考えてたら。
唇に柔らかい感触…………
え…えぇっ!?
チュっと聞こえたリップ音。
驚いているうちに、2度・3度と触れられて…
下唇も上唇もドンへさんのそれに柔らかく食まれる。
そのまま、ドンへさんの舌が私の唇をペロリと舐めて、薄く開いた唇の間を割り入ってくる。
ちょっ!!!!
そこで、ハッと我に返って……
気がついたらーーー思いっきりドンへさんの頬を殴ってた。
『最低!!』
それだけ言って、草履に着物で走って逃げた。
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alexandrite_bbc(プロフ) - HARUさんはじめまして^^全作品読ませていただきました!占ツクからはもう離れてしまったのでしょうか、、、いつかまた更新されることを楽しみに待っております^^ (2019年12月5日 0時) (レス) id: 1875bc1f3a (このIDを非表示/違反報告)
manmaruu(プロフ) - とてもドキドキしながら読ませて頂いてます(//∇//)続きも楽しみにしています!! (2019年11月2日 5時) (レス) id: 786210485f (このIDを非表示/違反報告)
HARU(プロフ) - 姫稀さん» ありがとうございます!!ずっと更新できていないんですが、こうやってコメントを頂けると頑張ろうって思えます!! (2018年9月19日 19時) (レス) id: 7152b2ed7f (このIDを非表示/違反報告)
姫稀(プロフ) - とても素敵な話で、読みながらドキドキしてしまいました。こんなシチュエーション最高 ヒロインちゃんとドンへがどうなるのか、めっちゃ気になります!!続きがとっても楽しみです♪ (2018年9月19日 9時) (携帯から) (レス) id: 674af9cd90 (このIDを非表示/違反報告)
HARU(プロフ) - まゆまゆさん» コメントありがとうございます。そうなんです。まさかのお馬さん出てきました(笑)ヒョクのたまに『どうした!?』って言いたくなるところも可愛いですよねwww更新、頑張りますね!! (2015年6月22日 23時) (レス) id: f9eb079c21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:HARU | 作成日時:2015年6月15日 12時