７ ページ7
「そんなにジロジロ見られるとやりにくいんだけど」
「あ、ごめん。君って顔良いよなって思って」
伊礼君の手がピタリと止まった。
「……そういうの素で言ってて恥ずかしくないの？」
「うん、だって事実だし。でも君があまりにも恥ずかしくて言われたくないなら、やめるけど？」
ちょっとからかってみると予想外に彼は沈黙した。
あれ、やっぱ思春期男子の心は弄ばない方が良かったかな。
「………言っても良い。けど僕以外の男子には安易に言わないで。誤解を生むリスクがあるから」
ゲーム機に向き合ったまま彼はそう言い、操作を再開した。
でも淡々としたその言葉とは裏腹に、ゲームの照明に照らされた伊礼君の横顔は僅かに赤く染まっていた。
(…おいふざけんな。なんでそんな顔すんだよ)
熱を帯びた頬にカフェラテを引っ付けた。もうぬるくなってるけどないよりはマシだ。
絶対振り向くなよ。伊礼君。
伊礼君はその後それなりに良い収穫をして、私は音ゲーしてからゲーセンを出た。
時間が過ぎるのは早く、気付けば時刻は夕食時になっていた為ご飯食べるかーとなって今はファミレスにいる。伊礼君は目玉焼きハンバーグ。私はクーポンあったからたらこスパゲッティ。
「よく食べるねー」
「？普通に一食分しか頼んでないけど」
「いやさ。ハンバーグとか、そういうボリューミーなの食えないから」
「胃が弱いの？」
「まあね。トンカツとか焼き肉とか無理。あ、あとパフェとかの極端に甘いのも無理かな」
「そうなの？女子は“甘い物は別腹”とか言ってよく食べてるイメージあったけど」
「そういう人達もいるにはいるよ。私が食べれないだけで」
「フーン…」
興味なさげな返答して伊礼君は食事を再開した。私はたらこの味に飽きて、なんとなくスパゲッティに刺したフォークをくるくる回す。
なんか、今日一日変な感じだったな。
相手が男子だからだろうか。けど中学の時にも男子と出掛けたことはあったが、それとはなんか違う。
強いて言うなら、あの時より幾分か楽だった。私が音ゲー見てたら『やってくれば？』って言ってくれたし。
「あっ。そういやさ、結局私は何奢れば良いわけ？」
そうだ。本来の目的を忘れていた。
普通に遊んでたけど私は伊礼君に借りがあるんだし、ちゃんと返さなきゃ不公平だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 49人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
楽空(プロフ) - 空木さん» 返信遅くなりましたが、ありがとうございます。頑張ります！ (2022年9月17日 2時) (
レス) id: ac5eac6eff (このIDを非表示/違反報告)
空木 - ウインボはあんまり無いかな...と思って検索したらまさかの康人くん(推し)で吃驚しましたありがとうございます...‼更新頑張って下さい！！ (2022年8月4日 18時) (レス) @page16 id: 7a7324414c (このIDを非表示/違反報告)
楽空(プロフ) - 柚莉愛さん» ありがとうございます。モチベめちゃ上がりました。がんばります。 (2022年6月16日 21時) (レス) id: 0b829f5534 (このIDを非表示/違反報告)
柚莉愛 - 頑張ってください！応援してます！ (2022年6月14日 15時) (レス) id: cefdbc04a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白さん。 | 作成日時：2022年2月6日 23時
