３ ページ3
Aたっての希望(と云う名の責任逃れ)で恋人の真似をすることになった高校生二人組。
しかし言い出しっぺの伊礼は、告白からまさかの一週間経ってもAにそんな素振りを微塵も見せていなかった。顔を合わせてもAと何と云うこともない挨拶とただの雑談をするばかり。
確かに恥ずかしくてなかなか行動に移せないのは思春期のDKならではのことだ。でも一週間も放置するのはいかがなものか。
これにはファミレスでオーダー忘れられても許せる仏のAも流石に仮借なく異議を心の中で申し立てる。
(イヤ謎い。すんごく謎いよ伊礼君。君フラれたくないって言ってたジャン…。
別に期待は……
してるわ。好きじゃないけどなんとなく期待してるわ。でも意識してるのにこんだけ放置か？おい待て話が違うぞ)
と、四時間目の現文の時間に教科書に落書きしながら嘆くAであった。被害は芥川龍之介のおでこに某筋肉のマンよろしく『肉』と描かれたことである。
昼休み。いつもは一人で過ごすAの隣に突然伊礼が来襲した。身構えていなかったAは、心臓が陸に打ち上げられた魚の如く跳ねる跳ねる。
「よ、よう」
「なんでそんな挙動不審なの」
「はい??」
(イヤなんでもなにもお前のせいだろうがッッ!!!!)
Aは目の前の糸目野郎を張り倒したくなった。
当たり前だろう、言い出したのお前なんだから責任くらい持ちやがれ。もしかして告白した事実忘れてたりする？どんなタイムパラドックスだSF映画にしてはしょうもなさ過ぎる。伊礼君ただのクソ野郎になってるよ。
「そんな強く握り締めたら箸折れるよ。素手で食べる気？日本の食文化に素手はないよ」
「張り倒したろか？」
「ヤメてよ物騒だな」
(このクズ…!!)
なぜか一週間前に告ってきた奴にいきなりコケにされ、先生に気付かれず欠席扱いされても怒らなかったAは流石に頭に来た。
「へーそう。なにもしなかったけど君という人間が分かったよ先の話は無かったことにするわ」
矢継ぎ早にそう告げ、Aは弁当片手に席を立ちその場を去る———瞬間、伊礼が彼女の腕を掴んだ。
「ごめん。ちょっとからかい過ぎた」
「ちょっと????」
「ごめんかなりやり過ぎた。ホントごめん」
かなり焦った顔で謝られ、予想外だったAは怒りを鎮める。
「……はぁ。いいよ。許す。でも次はない」
「うん…ごめん……」
「ん」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 49人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
楽空(プロフ) - 空木さん» 返信遅くなりましたが、ありがとうございます。頑張ります！ (2022年9月17日 2時) (
レス) id: ac5eac6eff (このIDを非表示/違反報告)
空木 - ウインボはあんまり無いかな...と思って検索したらまさかの康人くん(推し)で吃驚しましたありがとうございます...‼更新頑張って下さい！！ (2022年8月4日 18時) (レス) @page16 id: 7a7324414c (このIDを非表示/違反報告)
楽空(プロフ) - 柚莉愛さん» ありがとうございます。モチベめちゃ上がりました。がんばります。 (2022年6月16日 21時) (レス) id: 0b829f5534 (このIDを非表示/違反報告)
柚莉愛 - 頑張ってください！応援してます！ (2022年6月14日 15時) (レス) id: cefdbc04a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白さん。 | 作成日時：2022年2月6日 23時
