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「いやでもさ伊礼君。それはまだ早いとおも」
『A』
刹那、Aの思考が飛んだ。口はパクパクと動くだけで言葉が発せられない。波打つ鼓動が心臓を痛め付ける。
「……まだ許可した覚えはないんだけど？」
『沈黙は肯定と受け取るって言ったじゃないか』
「理不尽の極みか。もう寝るおやすみ」
早口で言い切るとAは一方的に通話を切った。ホーム画面に戻ったスマホを切り、適当に放る。暗い部屋に再び静寂が戻った。しかし心臓の鼓動はまだ煩わしく音を立て、彼女の目を冴えさせる。
(もし了承してたら私はこれから伊礼君を、下の名前で呼ぶことになっていた...)
無意識に口の動きだけで彼の名前を呼ぶ。途端心の奥から迫り上がる何かにAは酷く混乱した。心臓が痛いし、すごく息苦しい。体が火照るのを感じる。こんな状態で名前呼びになったら平静がいとも簡単に崩される。いつも通りにいかなくなったら疲労が倍増する。覚えのある感覚に目眩がして、思わず手で顔を覆った。
「なんでッ…」
そのまま枕に顔を押し付けて呻く。疑問と苛立ちが募りに募ってキャパオーバーし、頭がガンガン痛み始めた。
そして顔は、リンゴのように真っ赤に染まっていた。
(くっそ… なんでこんなことに…)
唇を噛み締めやり切れない想いに蓋をする。振り回されてはいけない。同じ失敗は、もう二度としたくない。
脳裏をよぎった顔に凄まじい嫌悪を抱いたまま、Aは瞼を強く閉じた。握り締められてクシャクシャになったシーツが彼女の心模様を表しているかのようだった。
───
「あ…」
窓にポタッと付着した水滴。それは一つ二つ増えたかと思えばすぐに窓全体を濡らし、遂には校庭中を濡らす大雨になっていた。
石川の天気は崩れやすい。天気予報を鵜呑みにして傘を持たずに外出すると、びしょ濡れになるのはしょっちゅうだ。そのため置き傘をしたり、折り畳み傘を持ち歩く人が多い。だがその中には少なからず例外が存在する。
「えっ、なんで無いの。嘘でしょ」
置き傘を盗んで帰る連中だ。机の横に掛けておいた折り畳み傘がなくなっている。勿論ずぶ濡れになって帰る気は毛頭ない。Aは職員室に駆け込み傘を借りようとしたが、生憎全て貸し出された後だった。
「はぁ？こんなことある…？？」
出来る限りの手は尽くした。しかし望みの傘は手に入らなかった。絶望の二文字が脳裏に浮かんだ。ここは腹を括るしかないのか。
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楽空(プロフ) - 空木さん» 返信遅くなりましたが、ありがとうございます。頑張ります！ (2022年9月17日 2時) (
レス) id: ac5eac6eff (このIDを非表示/違反報告)
空木 - ウインボはあんまり無いかな...と思って検索したらまさかの康人くん(推し)で吃驚しましたありがとうございます...‼更新頑張って下さい！！ (2022年8月4日 18時) (レス) @page16 id: 7a7324414c (このIDを非表示/違反報告)
楽空(プロフ) - 柚莉愛さん» ありがとうございます。モチベめちゃ上がりました。がんばります。 (2022年6月16日 21時) (レス) id: 0b829f5534 (このIDを非表示/違反報告)
柚莉愛 - 頑張ってください！応援してます！ (2022年6月14日 15時) (レス) id: cefdbc04a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白さん。 | 作成日時：2022年2月6日 23時
