１ ページ1
その言葉は、ひとりの女子高生をタックルし、混沌の狭間に陥れた。
「ん？え？……(深く息を吸って)………ゑ？」
「うん。まあ、そうなるよね」
一応告白した側の男子高校生、伊礼康人はえらく淡々と反応した。
君のおかげで相手はひどく狼狽えているのだが、なにせこの男のキャッチコピーは“微笑みの共感能力欠落男子”。その名に恥じることなく、伊礼はAを完全に置いてけぼりにして続ける。
「で、返事は？先延ばしにしたらはぐらかされる可能性があるから、できれば今聞きたいんだけど」
「えぇ…(困惑)(呆気)」
さっきからこの女子高生、『え』しか発していない。感嘆符の活用紹介をしているのかな。
「イヤ、その…」
「え？嫌なの？」
「違う違う違う」
「あ、じゃあイエスなのね」
「待て待て待て待て」
とても
「い、伊礼君。申し訳ないけど正気？」
「今かなり失礼なこと言った自覚ある？」
「だから『申し訳ないけど』って前置きしたジャン!!」
「ハイハイ。そうだよ、正気だよ」
「ウソダァ…」
「ねえこのやり取り無限ループするから早く答えてよ」
「強引すぎん??」
何でもいいから早くして欲しい。
「イヤマジでやめた方が良いよこんな不良物件。君に損しかないってホントに」
「損か得かは僕が決めることでしょ。勝手に決めないでよ」
「イヤーだって…」
「僕が聞いてるのは君は“許可してくれるのか”ってことだけだよ？」
「え？許可？何の？」
「僕は君と手を繋いでいいの？君と話す頻度を増やしてもいいの？二人きりでどこかに出掛けてもいいの？っていう許可だよ。
＿＿＿恋人って普通そういうことするでしょ？」
伊礼はさも当然のように言って退けた。小首を傾げ、同意を求める視線をAに注ぐ。
しかし、それは彼女の価値観と相違した。
「それって…恋人の“真似事”がしたいってこと？」
伊礼は一瞬眉を
だが伊礼の定義でいくと、“ただ恋人がしている行動をAとしたい”、という許可を尋ねていることになる。
(あぁ、しくじったな)
そう心の内で舌打ちした。焦りは予想だにしないことを生み出すトラップだ。某探偵漫画の爆発処理部隊の男の言う通り。
「待って。そういう意味じゃ＿」
「それなら、良いよ」
「え？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 49人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
楽空(プロフ) - 空木さん» 返信遅くなりましたが、ありがとうございます。頑張ります！ (2022年9月17日 2時) (
レス) id: ac5eac6eff (このIDを非表示/違反報告)
空木 - ウインボはあんまり無いかな...と思って検索したらまさかの康人くん(推し)で吃驚しましたありがとうございます...‼更新頑張って下さい！！ (2022年8月4日 18時) (レス) @page16 id: 7a7324414c (このIDを非表示/違反報告)
楽空(プロフ) - 柚莉愛さん» ありがとうございます。モチベめちゃ上がりました。がんばります。 (2022年6月16日 21時) (レス) id: 0b829f5534 (このIDを非表示/違反報告)
柚莉愛 - 頑張ってください！応援してます！ (2022年6月14日 15時) (レス) id: cefdbc04a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白さん。 | 作成日時：2022年2月6日 23時
