第七譚 回り回った日常 ページ8
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そして現在、Aは警察署に居た。
誤解を生まないように言っておくが、決して犯罪を犯した訳では無い、断じて。
一から説明すると、事件沈静後に近場の駅に到着したAは事情聴取のためその場に留まり、情報整理の末に頭を抱えていた。
そしてAを含めあと数人という所まで進行し、彼女は警官と対面した。
問題はここからだ。
身元確認ため最初に身分における質問をされた、Aは名前を答え、歳を答えた。
そして次に、何処の学生か問われた。
下校途中であったAは制服を着用していたため、学生と見て分かるのは火を見るより明らか。
Aは嫌な予感を感じ取っていたが丁度生徒手帳をリュックに入れていたので警官に恐る恐る呈示する。
すると、何故か首を捻らせた警官が上司と思われる人に無線で連絡を取り始めたではないか。
Aの背筋に冷たいものが走った。
これは何かヤバいんじゃないか。
さっきうちが出した結論が仮に本当だったとしたら尚更っ......
予感は残念ながらも的中することになる。
「...少々聞きたい事がございますので、署まで同行願えますか?」
嘘だろぉっ.......
Aの頭の“詰み”の二文字が浮かんだ。
今にもその場に膝から崩れ落ちそうになっているが何とか堪えたAは自慰の為、最早習慣となっていた現実逃避という名の妄想癖を展開してしまったという。
ご愁傷様である。
そしてパトカーに乗せられ、警察署まで連行されてしまったという訳だ。
御丁寧に両脇を固められながら。
初めてのパトカー乗車が真逆こんな形で訪れようとは誰が予想したか。
地獄のような体験に一つ、大きな溜め息を吐き出した。
んでうちは一体これからどうなるんだ。
現在、警察署の一室に連れてこられたAは同行していた警官に“暫くお待ち下さい”と云われ椅子に座り、大人しくその時を待っているのだが。
何故か一向に誰かが現れる気配がなかった。
此の儘脱走でも試みてみようか?
否、辞めておこう。
其れこそ厄災を招くかもしれない。
「どうするかなぁ〜...」
「何がです?」
「..........ビビったぁっ...!」
Aの独り言は今しがた部屋に入ってきていた黒服の男に聞かれてしまっていた。
返事が返ってくるとは予想していなかったAはビクついた勢いで膝を対面していた机の裏に強打したものの平常心を保ち、後ろに目を向ける。
「して、貴方様は何方です?」
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作者名:食べかけの春雨さん。 | 作成日時:2019年10月11日 23時