ep361 ページ14
—貴女side—
ドゴォォォオ……
アジトから早々に逃げおおせていた私達は、ついさっきまでいた場所から上がる火煙を眺めていた。
狙いは上々とばかりにアジトどころか山一つ吹き飛ばした敵の航空艦隊。
何故こんなドンピシャ狙われたのかと言えばきっと……
「自分可愛さに敵にリークした輩がいたんでしょうね」
「言っとくが
腕を組みながらそう言う副団長。
「分かってますよ。何が楽しくて絶滅危惧種が同士討ちするってんですか。そんなのどっかの変わった親子だけです」
「変わってて悪かったな」
つまり裏切りが発生したのは鬼兵隊。現に心当たりがあったのか鬼兵隊の隊員たちはバツの悪そうな顔をする。
彼らの肩に担がれている晋助を見ながら、
「まあ大将がこれじゃあ先行き不安だろうね……珍しい話じゃない」
と言えばそれが非難めいて聞こえたのか、見知った顔の鬼兵隊員が私に言った。
「橘参謀……確かに隊内の不穏な空気に気付きつつ何も出来ませんでしたが、私達は——」
「分かってるよ覚えてる。君達は攘夷戦争の時からの古参だ。裏切るならとっくに裏切ってるだろうし今ここにいる時点で君達は信頼してる」
実際、残っていたのが古株ばかりなおかげで私の素性を逐一説明しなくても指示に従ってくれるのはありがたい。
「で、これで貴方が鬼兵隊と第七師団を救出するために敵側を装っていたことがはっきりしましたが、その意図は……?」
星海坊主に尋ねれば
「俺ァ他人の喧嘩に横槍入れる奴が嫌いなだけだ」
といかにも遺伝か?と言いたくなるような答えが返ってくる。
「そう忠告したんだが、どうやらむこうも本気で俺とやり合うつもりらしい。星一つ潰す覚悟決めてきやがった」
「彼等にはそんな大層な覚悟ありませんよ。せいぜい蟻1匹踏み潰すくらいのテンションでしょう」
「嬢ちゃん、結構言うねぇ」
こんな状況でも笑いながら言う副団長に「どうも」と返しながら、私は全然関係のないところで上がる火柱に眼を注いだ。
「来たか?」
「はい」
星海坊主の問いかけに答えながら目を凝らせば、薄黒い煙の先に銀髪、サングラス、黒髪ロン毛、三味線が見える。
無事落ち合えることを祈ろう。
「ではそろそろ逃げましょうか。敵の主力は我々を狙っているようなので」
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ギラッフェ(プロフ) - 陽-hisa-さん» いつも楽しみにしてくださってありがとうございます。何よりもの励みになっています!今後とも楽しんでいただけると嬉しいです(^^) (9月2日 0時) (レス) id: 7a3023c2c7 (このIDを非表示/違反報告)
陽-hisa- - お久しぶりです。攘夷とこんなに上手く絡ませている作品、やはり私的にはこの作品が一番です。一番好きです。これからも楽しみにしています。応援しています。 (8月31日 19時) (レス) id: cd440b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - るぅさん» いつもありがとうございます!ベタ褒めしていただいて嬉しい限りです笑 今後ともよろしくお願いします! (8月22日 9時) (レス) id: 1bbdb8d99e (このIDを非表示/違反報告)
るぅ - いつも読ませて頂いてます!大体どの作品も恋愛系の作品が多いのですが、占ツクで面白い作品に出会えると思ってなかったです笑コメント見させて頂きましたが、オチなしの結末を考えているとの事で個人的にホッとしました笑これからも応援してます! (8月21日 21時) (レス) @page48 id: 0469468a88 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひーさん» コメントありがとうございます!読み返してくださるのとても嬉しいです!今後ともよろしくお願いします! (8月10日 9時) (レス) id: da4440489d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2022年1月26日 0時