ep336 ページ39
「くっそ……」
近藤局長を支えて立ち上がった副長に叫ぶ。
「副長!局長連れて先に行って下さい。後から追いかけます!」
それだけ言ってから私は刀を抜いて来た道を戻った。
その先で地に倒れた佐々木局長と彼の手を握る信女ちゃんを見つける。
私は2人を背に庇いながら刀を構えた。
「信女ちゃん、君は佐々木局長を連れて行くことだけ考えて。それ以外は考えなくていい。道は私があける。行けるね?」
私の問いかけに彼女は頷き、佐々木局長の腕を回して立ち上がった。自分だって重傷だろうに見上げた覚悟だ。
隙を狙う奈落を斬り伏せながら皆が起き上がるまでの時間を何とか稼ぐ。
「全員起きた?走るよ!!」
その声とともに一斉に走り出す私達。
佐々木局長と信女ちゃんは何か言葉を交わしていたけれど、喧騒の中の私には何を話しているのか分からなかった。
でもきっと、そのやりとりは私が知らなくていい、2人だけに必要な話なのだろう。
振り返ればいつの間にか銀時達も沖田君も佐々木局長を守るように後をついて来ていることに気づく。
そして倒れかけた2人を支えるように、テツが佐々木局長の手をとった。
「自らその眼を閉じない限り、あなたは……私達は、1人じゃない」
信女ちゃんの言葉と同時に脱出用の船が見えて来る。
しかし、やっと森を抜けた私達が目の当たりにしたのは
辺り一面に溢れかえった奈落。
背後の隊士達から息を呑む音がする。
「足だけは止めるなよ」
そう彼等に言い聞かせつつも、当然ながら船の隊士も離陸寸前で応援は頼めない。しかし敵は全員叩き潰す気で向かってくるし、そんな敵を斬り伏せて進むしかないのが現状だ。
「分かっちゃいたけど、キツイなこれ」
「助太刀しまさァ」
苦笑いした私の隣に現れてそう言う沖田君。
しかしそういう彼も珍しくかなりの重傷具合。そんなに負担はかけられない。
「じゃあ左は任せる。こっちと正面は私が請け負うから」
グッと刀を握りしめて刀を振るえばかろうじて道が開かれていく。ここまで来たんだ、もう誰一人死なせない。
「急げェェェエエエエ!!!」
船のタラップから叫ぶ副長の声。
「全員、船の中へ!!」
滑り込むようにして船内へ駆け込み、タラップに足をかけた私達。
それと同時に船は離陸した。
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ギラッフェ(プロフ) - ろこもこさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて感謝しかありません。前作も必ず完結させるつもりですので長い目で見ていてくださると嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2022年1月18日 23時) (レス) id: 3534028906 (このIDを非表示/違反報告)
ろこもこ(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます!前作の最終兵器に宜しく からずっとファンです…!ギラッフェさんの小説は人物や世界観が作り込まれ、何より愛が感じられて大好きです!!これからも応援しています! (2022年1月18日 15時) (レス) id: c1accee4d9 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - むーさん» そう言っていただけて嬉しいです!ゆるゆる更新してますがどうぞこれからも宜しくおねがいします (2022年1月11日 19時) (レス) id: 3534028906 (このIDを非表示/違反報告)
むー - いつもギラッフェさんの語彙力が凄すぎて本当に尊敬します…これからも頑張ってください! (2022年1月10日 21時) (レス) id: c41de03eef (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ゆりりんさん» コメントありがとうございます!そんなふうに想ってもらっていて感謝しかありません。これからもよろしくお願いします! (2021年11月3日 10時) (レス) id: 26330a8285 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2021年4月22日 16時