ep310 ページ13
佐々木局長を見送ってから数時間。
小さな振動を感じて携帯を開けば、顔面に重傷を負った将軍の写真が届いていた。
「何が起こったし……」と一人で呟けば、ヴィーンと扉の開く音がして信女ちゃんが部屋に入ってくる。
そして私の携帯の液晶を見て言った。
「……あなたにも届いてたの」
「うん。……あ、もしかしてわざわざ報告しに来てくれた？」
そう尋ねれば少し嫌な顔をされる。最近やっと彼女の能面に変化を見出せるようになってきた。
とは言っても私に対する表情は無か不快かの二択なんだけれど……
「私には写真だけ送りつけられてきたんだけど、信女ちゃんはなんで将軍様がこうなったか聞いてる？」
「聞いてない」
「そっかぁ。じゃあ大人しく佐々木局長のお帰りを待ちますかねー」
盤面がやっと動き始めた予感がして不謹慎にもわくわくしてる自分がいる。私の読みは間違ってなかったと言って良さそうだ。
「こうやって身を隠してなくちゃいけないのが勿体なく思えてくるなぁ」
でも私の所在がバレちゃあ効果半減だし、作戦は瓦解だ。ここは辛抱辛抱。
そんなことを考えながら無意識に上がった口元を隠せば、少し離れたところに立っていた信女ちゃんと目が合う。
まるで深淵のように塗りつぶされた瞳。でも少しだけ滲み出すように見えた色は疑念というより……軽蔑に近いような気がした。
また気付かないうちに彼女の逆鱗に触れてしまったかな？と思い返すが……
何を隠そう、彼女と会話するのは先日以来、今この瞬間が初めてだ。
そもそも気分を害する機会すらなかったと言うかなんというか……うん、そういうことだ。
あはは、と胸中で乾いた笑い声をたてればずっと沈黙を貫いていた信女ちゃんが口を開く。
「あなたも“あの人”の弟子なら何故そんな風にしていられるの？」
その瞬間、ひゅっと喉元が詰まった。
思わず見上げた彼女の表情は確信に満ちていて出まかせや鎌をかけているわけではないとすぐに分かった。
「……そっか。やっぱり知ってるんだね」
これ以上詮索しないでほしい、という一縷の願いも込めて無理矢理微笑んで見せるが、彼女は追及の手を緩めなかった。
「それともこれがあなたの“自分自身と戦う”ための手段なの？」
そんな物言いされるとまるで松陽本人に諌められてるみたいだ、やめてほしい。
「自らが敵に回れば、彼等を護れると思っているの？」
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ギラッフェ(プロフ) - ろこもこさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて感謝しかありません。前作も必ず完結させるつもりですので長い目で見ていてくださると嬉しいです。これからもよろしくお願いします！ (2022年1月18日 23時) (
レス) id: 3534028906 (このIDを非表示/違反報告)
ろこもこ(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます！前作の最終兵器に宜しく からずっとファンです…！ギラッフェさんの小説は人物や世界観が作り込まれ、何より愛が感じられて大好きです!!これからも応援しています！ (2022年1月18日 15時) (レス) id: c1accee4d9 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - むーさん» そう言っていただけて嬉しいです！ゆるゆる更新してますがどうぞこれからも宜しくおねがいします (2022年1月11日 19時) (レス) id: 3534028906 (このIDを非表示/違反報告)
むー - いつもギラッフェさんの語彙力が凄すぎて本当に尊敬します…これからも頑張ってください！ (2022年1月10日 21時) (レス) id: c41de03eef (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ゆりりんさん» コメントありがとうございます！そんなふうに想ってもらっていて感謝しかありません。これからもよろしくお願いします！ (2021年11月3日 10時) (レス) id: 26330a8285 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ギラッフェ
| 作成日時：2021年4月22日 16時
