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ep283 ページ36

しばらくしてその場に残ったのは静寂だけ。


血だらけの2人は地面に倒れ込んだまま、荒い息で空を見上げていた。

そんな2人と同じように、私も空を見上げてみる。


だがその先は、心地の良い風をふかす訳でもなく、温かい陽を注ぐ訳でもなく、ただ濁っているだけの空。

そんなものを見たところで気分が晴れるわけもなく……。



もう一度地に伏せた2人に視線を戻せば、晋助が口を開いた。


「この左目に最後に映ったのはお前のツラだった」


その言葉であの日の情景がまざまざと蘇ってくる。




「俺達の仇は俺達自身だ――。
あの人を救うために戦ったにもかかわらず、その弱さゆえあの人の命を踏み台に生き残っちまった……お前にその咎を負わせて――」


まるで言葉が実体をもって喉を絞め上げてくる、そんな感覚だ。


「俺達ァ生き残るべきじゃなかった……。何故あの時俺達を見捨てて先生を助けなかった?
お前こそ誰よりあの人を救いたかったはずなのに」


ぐっと力を入れて体を起こす晋助は次の瞬間、



「何故、何故俺達なんぞを選んだ銀時ッ!!」



震える声でそう叫んだ。


力強いのに今にも崩れそうで――こっちまで苦しくなる、そんな表情で……。

だが晋助だって理解してないわけじゃない。



「……もしあの時、お前が俺でもそうしたさ」


銀時が静かに言うその“もしも”を。


「だからお前は俺に刃を向けるんだろ。己を斬るよりよっぽど痛ェ仇を討とうとしてんだろ」



そうだ。私達のうち誰が選択を迫られても結末は同じだった。
当たり前だ。同じ師の元で同じことを学んだんだから。


でも、分かってても……でもそれでも耐えられないから苦しいんだ。

松陽の命を背負って、銀時に松陽の首をはねさせて……それでも生きる自分に価値があるのか。

誰に責められてる訳でもないのにどうしたって自問自答してしまう。


痛いくらいわかる。1番辛いはずの銀時が前を向いて生きているのにいつまでも顔をあげられない自分に嫌気が差すのも全部全部わかる。


でも――――


「だが残念だったな。俺は倒れねェよ」


そう、銀時はそういう奴だ。
そういう姿に私は救われたんだ。

今の仲間を守ることがいつか過去を肯定させてくれると気づかせてくれた。



「お前が倒れるまで、お前が止まるまで何度でも立ち上がる」




 

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ギラッフェ(プロフ) - ゆうゆさん» コメントありがとうございます!楽しみにして下さってて本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!テストに間に合ってよかったです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうゆ - 更新凄く楽しみに待ってました!応援してます、これからも頑張ってください!! (2021年2月26日 1時) (レス) id: 90e018deaa (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - めちゃめちゃ楽しみにしてました!これからの展開が楽しみですこれで明日のテスト頑張れます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: a90e951796 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - じゅうぞうさん» コメントありがとうございます!なかなか更新できずすみませんでした。応援ありがとうございます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2020年8月29日 0時

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