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ep278 ページ31

―no side―


Aが逃げ出した後の松下村塾では重苦しい空気が沈滞していた。


「また怖がらせてしまいました」

そう笑う松陽だったが空気は重い。


だがその時


「行くぞ……銀時、ヅラ」


晋助がそう言って門の外へと歩き始めた。


「え、お前アイツ探しに行くの?てかこっち巻き込むなよ」

かったるいとばかりの銀時。

だが一方の小太郎は

「雨も降りそうだしさっさと見つけて帰ってこよう」

と言って歩き出してしまう。


「え、ヅラも行くのかよ!?」


そして「人手は多い方がいいですよね」と外堀を埋め始める松陽。


結局


「……分かったよ。行けばいんだろ!」


銀時は折れた。




そして松下村塾からAの走り去っていった方向へと道を辿り始める3人。


しかし降り出した雨も相まってなかなかに苦戦をする。


「ったく、アイツどんだけ遠く行ったんだよ」



不平を垂れ流しながらも歩き続けること数刻、

いよいよ風が吹き荒び、雨が激しくなり始める。


「全然前が見えねぇ……」


などと言っていた矢先に強風で傘が折れる。すると一瞬でずぶ濡れになる3人。


傘もなしにこの嵐の中、Aを探すにはあまりに視界が悪いことに気づいて小太郎が言う。


「取り敢えず戻るぞ。この雨じゃそう遠くは行けない。晴れてから探しに出ても大丈夫だろう」


その言葉に2人は頷いて松下村塾へ戻り始めた。


冷たい雨粒が肌に直接当たるのを感じながら足早に歩く3人。


「アイツもさすがにこんな中、外にはいないだろ」


寒さに震えながらそういう銀時に小太郎が頷く。


「たしかに…。他人の家にでも入れてもらってるかもしれない」



晋助もそうだろうと思って帰路を急ぐが、その途中でAのことが思い浮かんだ。



初めて会ったあの日、羽織り一枚を手繰り寄せながら寒空の下に倒れていた姿

誰とも馴れ合わず、独りで冷めたような諦めたような表情をする姿

頑なに他人と合わせない視線――――





思わず立ち止まった。



この嵐だから外にはいないだろう?

――いや。実際、あの日寒空の中、道に倒れてたじゃないか。


他人の家に入れてもらってるかもしれない?

――他人と目も合わせないアイツがどうやって?


他人を頼ることなど微塵も知らないアイツがどうやって?



「どうした?」


突然立ち止まった晋助を振り返る2人に晋助は……



「見つけなきゃダメじゃねぇか」



そう言って道を引き返し、走り出したのだった。





 

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ギラッフェ(プロフ) - ゆうゆさん» コメントありがとうございます!楽しみにして下さってて本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!テストに間に合ってよかったです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうゆ - 更新凄く楽しみに待ってました!応援してます、これからも頑張ってください!! (2021年2月26日 1時) (レス) id: 90e018deaa (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - めちゃめちゃ楽しみにしてました!これからの展開が楽しみですこれで明日のテスト頑張れます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: a90e951796 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - じゅうぞうさん» コメントありがとうございます!なかなか更新できずすみませんでした。応援ありがとうございます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2020年8月29日 0時

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