ep137 ページ40
江戸城の長い長い廊下を歩く長官と私。
「まァ今廻ったとこ覚えときゃ取り敢えず困るこたぁねぇだろォ」
「分かりました」
そう答えながら頭の中で事前に目を通した城の見取図と通った道を対応させていく。
実際歩かないことには地図が頭に入らないんだから仕方ない。
そう……仕方ない仕方ないと唱えたそばから、思いっきり着物の裾を踏んづけてつんのめる私。
「うぉっ!!」
何とか踏み止まるが、「オイオイばなっちゃん大丈夫かよぉ……4回目だぞ?」と長官に呆れた顔をされた。
「……大丈夫です」
「ならいいけどよぉ」
溜息交じりに裾を直す私はまた仕切り直して長官の後をついていく。
慣れない着物を着て、慣れない内股でちょこちょこ歩き出くこと早3分――――
「……ぅ"ぅ"うあぁぁあああ!!重い!暑い!脚開かない!苛々するッ!!」
廊下のど真ん中で叫び散らかす私はもう限界を迎えていた。
「江戸城で潜入捜査って言うからどうするのかと思ってれば、よりによって姫の付き人!?んな堅っ苦しい仕事やってられるかァァ!!」
「うん分かった。悪かった。オジサンが悪かったから城内で叫ばないで」
ガラにもなくツッコミに回る長官をじとりと見ながら、ふと思いつく。
「てか着物なんて見えてるの一番上の布だけなんだからその下の布要らなくね?うんうん、そーだそーだ。そうしたら幾分か風通しもマシになる!!」
そう早口で言いながら着物の裾を広げて脱ごうとする私の腕を掴んで、長官は必死の形相で止める。
「待てェェェええええ!!!」
「待てるかぁぁああああ!!!」
江戸城の格式高い廊下で攻防真っ只中の私達。その時、私達の背後から声がかかった。
「城内でセクハラですか……エリートと違って背負うものが少ない方は自由奔放で羨ましいですね」
鼻につく嫌な物言いにまさか、と振り返れば――
「どうも、先日振りですね橘さん」
近日の睡眠不足の原因とも言うべき白い隊服が立っていた。
「佐々木局長……あはは。…ぉ、お疲れ様でーす」
と挨拶しつつ、私は長官の背中に隠れた。
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ギラッフェ(プロフ) - AISさん» コメントありがとうございます!心臓刺激できたようでよかったです笑 これからも宜しくお願いします! (2021年3月24日 23時) (レス) id: d3f370a12a (このIDを非表示/違反報告)
AIS(プロフ) - 橘ちゃんのキャラと能力がどストライク過ぎました。(真顔ゲンドウポーズ)銀さん「ったく、もうちったぁ俺の相手しろよ……。薄情なやつだな」AIS「おっ?君ツンデレか??ならば良し」。ワタクシの心臓を刺激しましたねハイ。更新頑張ってください!応援してます! (2021年3月22日 0時) (レス) id: 2a56ff43b4 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - なまたまごさん» 尊敬だなんでとんでもないです!ただたた銀魂が好きなだけです笑 なまたまごさんもがんばって下さい! (2019年6月24日 20時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
なまたまご(プロフ) - すごく面白いです…!同じ作者として尊敬します。これからも頑張ってください!! (2019年6月24日 0時) (レス) id: b5ac9a2789 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Nightさん» 応援ありがとうございます!!ぜひぜひ楽しみにしてて下さると嬉しいです。がんばります!! (2019年6月23日 11時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年4月19日 7時