【銀魂】前職：攘夷四天王専属参謀 参

ep114 ページ17

―no side―


ネオンの街を抜け、荒廃したビルに集う幾多のパトカー。
やけに紅い月が顔を覗かす中、白と黒は対峙した。



「お互い大変ですねぇ、あの出来損ないのせいでこんな所まで……」


節々に蔑みが匂う佐々木異三郎の言葉。
それに肩を怒らす真選組の面々をなだめるようにAからの通信が入った。


《到着は同時ですか……まぁ、及第点ですね。イラつくのはもっともですが、まだ刀は抜かないで下さい》


その指令に怒りを堪える真選組。


「浪士達は一度に２つの警察組織を潰せる絶好のチャンスだとでも考えたのでしょうね……とんだ見当違いだ」


小馬鹿にしたような笑いが赤黒い空に木霊した。そして佐々木は間髪入れずに指令を出す。



「総員出撃だ。人質に構うことはない。攘夷浪士を残らず殲滅しなさい」


その言葉に従って廃ビルへと進む見廻組を慌てて止める近藤。


「ま、待ってくれ佐々木殿！弟を見殺しにする気か！？」


「……退いて下さい。貴方達は自分の心配をなさった方がいい。
このような事態を招いた責任……どう取るのかファンとして楽しみにしていますよ」


そう言い残して土方の横を通り過ぎようとした佐々木。だが次の瞬間、その胸倉は荒々しく掴み上げられた。


「テメェ……！テツを道具に使いやがったな。邪魔なもん同時に消したかったのはテメェの方じゃねぇか」


「やめろトシ！！」


場の空気は一気に緊張を増す。


《落ち着いて下さい副長。私の話聞いてました？》


呆れたようなAの声に仕方なくその手を離した土方。しかし襟元を正しながら佐々木は火に油を注いだ。


「貴方達も自分が歯車の１つであることを理解した方がいい。
私ですか？……えぇ理解していますよ。私がとてつもなく大きく優秀な歯車でしかないことくらい」


まるで息をするように煽る佐々木にもはや殺気を隠せない真選組。


「テメェは一生他人に罪をなすりつけてやがれえッ！！」

「トシィィィ！！！」


刀に手を掛けた土方を必死の形相で止める近藤。その背後で今井信女の白い隊服が翻る。


「私の首を持って行くと言うのなら、首が１つ足りませんよ」


近藤の首を狩らんと信女が刀を抜こうとしたその瞬間――



《沖田君、止めて》


冷静なAの声が響いた。

そしてその指令通りに信女の鞘を貫く沖田。


「抜いてみろ……次は――ブチ抜く……」


阻まれた信女はただ不思議そうに沖田を眺めていた。





　

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