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ep41 ページ43

私は洗った。

隊服の汚れ一つたりとも残すまいと一生懸命洗った。
そう、それこそ昔話にでも出てくるお婆さん並みに……。

これはそのせいなのかな……?

心なしか――……



「縮んだ気がする」



 



いやいやいやいやまさかね〜。

天下の真選組が手洗いしたくらいで縮むような隊服着るわけないじゃーん。


「は、ハハハ……」


乾いた笑いとともに隊服を引き延ばしてみるが、勿論伸びてくれる訳はない。



「橘、隊服乾いたか?」

「副長ッ!?なんでここに……」

「なんでって……巡回に行くから隊服を受け取りに……」


まずい……。
非常にまずい。ゲロやら何やら言ってるレベルじゃない。いや、むしろゲロつけてた方がまだマシだったかもしれない……。


「悪かったな、わざわざ乾かすとこまで――……」


副長が隊服を受け取ろうと手を伸ばした瞬間、私はすかさず背中の後ろに隠した。



「?……オイ、返せよ」

「いや……こ、これちょっと生乾きみたいで……もうちょっと乾かした方がいいかなーって」


ハハハ、と笑うと眉をひそめた副長が言う。


「生乾きぐらい気にしねぇよ」

「いぃぃぃや!!生乾きが一番雑菌が繁殖しやすいんです!」

「そんな大袈裟に騒ぐ事じゃねぇだろ……ベストの上から着るだけなんだから」


騒げよ。頼むから騒いでくれよ。


「生乾き臭ってあちこち拭いて汚れに汚れまくった雑巾の臭いと同じなんですよ!?
副長は雑巾を身に纏ってても大丈夫なんですかっ!?」


「そう聞かれりゃ嫌だが……」


副長の目が泳ぎ始める。

そう、そしてこれは副長だけの問題じゃない。


「雑菌は副長が雑巾を纏っていると知らずに触れた者の手にも付着。その手でまた別の誰かに触れ、屯所のあちこちに触れ……食事をする」


「ん?待て……なんかこの流れどっかで……」


「仮にこの菌を雑巾の菌――雑菌(ぞうきん)と呼びましょう」

「うん。雑菌(ぞうきん)じゃなくて雑菌(ざっきん)な?てか、そのまんまじゃねぇか」



「そんなことを言ってる場合じゃないですよ!!この屯所は既に雑菌だらけなんですッ!!」

「そう、この屯所はタマ菌の巣窟ッ!!」


気づけば隣にいた清蔵さんとハモる私。


「うるっせぇよッ!!てかどっから湧いて出たんだよ、オメーは!?」

「菌の話となれば私が出てくる他ないでしょう」



副長のツッコミに「雨の日に傘をさすのは当たり前でしょう」並みの感覚で清蔵さんが言った。




 

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ギラッフェ(プロフ) - からちぇさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!これからも応援お願いします! (2020年9月11日 22時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
からちぇ - ドストライクな作品でした!めちゃくちゃ好きです (2020年9月10日 19時) (レス) id: b750728265 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 今井月華さん» コメントありがとうございます!ちょっと気を抜くとすぐ体調崩しちゃいますからね、気をつけます。月華さんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ハニーさん» ご心配ありがとうございます!これからインフルエンザの季節ですし、ハニーさんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
今井月華(プロフ) - お疲れ様です。体調にはお気をつけ下さい^_^ (2018年11月2日 21時) (レス) id: 7d138352b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2018年10月1日 22時

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